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【アート 美】毛利悠子の個展 日常から始まるレボリューション

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「墓の中に閉じ込めたのなら、せめて墓なみに静かにしてくれ for V.T.」2018年
「墓の中に閉じ込めたのなら、せめて墓なみに静かにしてくれ for V.T.」2018年

 磁力や重力、空気の流れなど、目に見えないエネルギーの存在を感知させる“動く彫刻”で知られる美術家、毛利悠子(38)。美術館での初個展「ただし抵抗はあるものとする」が青森県の十和田市現代美術館で開かれ、渦や回転、らせん運動を軸にした迫力ある新作が注目されている。「回転」は社会を変えようとする、うねりの象徴でもある。(黒沢綾子)

                     

 天井からぶら下がり、旋回するらせん階段。その周りに、メガホン型のスピーカーを付けたオブジェが3台配され、やはりくるくる回っている。電子オルガンのような不思議な音はどうやら、このスピーカーから広がっているらしい。

 実は、ピアノ線を電磁気で振るわせて作った音が、スピーカーの回転で複雑に変調しているのだという。高低の音がうねり、たわむ。鐘の音のような荘厳さを感じる瞬間があれば、電子音のノイズが気になる瞬間も。

 部屋の明暗もゆっくり変わる。動くオブジェは影絵のように壁に映り込み、3次元と2次元が混在する。17分で動きは一巡し、繰り返しとなる。まるで小さな劇場に迷い込むような、動く音響彫刻。本展のハイライトとなる新作だ。

 タイトル「墓の中に閉じ込めたのなら、せめて墓なみに静かにしてくれ for V.T.」は19世紀フランスの革命家、L・A・ブランキの言葉を引用したもの。長く幽閉の身だったブランキの最後の著作が革命論ではなく、宇宙の無限から人間を考察した本だったことに、毛利は感銘を受けたという。

 「孤独の中で彼が見ていたのは星の動きや、天体の回転だったのかも。もともと英語のレボリューションには『革命』だけでなく『回転』の意味があり、天体の公転も含まれる。社会を動かすには、宇宙レベルの考察が必要だと思ったのかもしれない」

 V.T.とは20世紀初頭の前衛芸術運動、ロシア・アバンギャルドの芸術家、ウラジーミル・タトリンを指す。作品の中の、らせん階段は彼が構想した「第三インターナショナル記念塔」(1919年、実現せず)から着想したもの。天へと延びるらせん状の構造体は、ロシア革命時の社会のうねりや、人々を鼓舞するエネルギーをほうふつさせる。

                   

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