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【フード 食・歳時記】ハマグリ 磯の香りとエキスで春到来

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エキスの一滴まで味わいたい焼きハマグリ。火を通しすぎないことが大事(荻窪佳撮影)
エキスの一滴まで味わいたい焼きハマグリ。火を通しすぎないことが大事(荻窪佳撮影)

 間もなく迎えるひな祭りにも欠かせない海の幸、ハマグリ。縁起の良い食べ物とされ、産卵を前にしたこれからの季節、特においしくなる。縄文時代の貝塚からもたくさんの貝殻が見つかっており、日本人との関わりはとても古い。(櫛田寿宏)

遊離アミノ酸

 「舌やいて焼蛤(はまぐり)と申すべき」

 高浜虚子

 ハマグリの上品なうまみ、また、焼いたときに立ち上る香りは、昔から日本人を魅了してきた。女子栄養大の西塔正孝准教授(水産学)は「ハマグリは遊離アミノ酸を多く含み、これが味に深みとコクを与えています。加熱したときに出るエキスは全部味わい尽くしたいですね」と話す。

 貝殻は、多くの貝殻を並べてひとつの貝殻に合う貝殻を見つける平安時代からの遊戯「貝合わせ」にも使われ、みやびな文化として人々の生活を彩ってきた。

巨大な水産加工場

 かつて、東京湾ではハマグリがたくさん取れた。海岸線がずっと内陸側にあった太古の昔からで、国内最大級の縄文時代の貝塚である「中里貝塚」(東京都北区、国史跡)からは、マガキとともにハマグリの貝殻が大量に出土している。見つかった遺構は、貝を処理する古代の巨大な「水産加工場」だったようだ。

 ハマグリの貝殻は4センチ以上の大きなものばかり。北区飛鳥山博物館学芸員の中島広顕(なかじまひろあき)さんは「小さな貝は大きく育つまで待って、資源を管理したのでしょう」と説明する。

 貝殻は周囲の集落だけで消費されたとは考えられないほどの量だ。中島さんは「干し貝にして、内陸の集落に供給していたようです」と話す。豊かな海の恵みは、多くの古代人の舌を楽しませていたようだ。

 時代は下って、東京湾のハマグリは千葉県浦安市などで多く水揚げされ、名産品となっていった。ただ、昭和40年代以降、さまざまな環境の変化もあって、この水域での天然物は極めて珍しくなっている。

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