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【学ナビ】シニア世代、「知る面白さ」探求

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東京経済大学大学院で学ぶ石垣克己さん(右)と豊泉博幸さん。「学ぶことは、面白い」と声をそろえる=東京都国分寺市
東京経済大学大学院で学ぶ石垣克己さん(右)と豊泉博幸さん。「学ぶことは、面白い」と声をそろえる=東京都国分寺市

 ■定年後に大学や大学院へ 諦めた研究や課題挑戦

 大学や大学院で学問に取り組むシニア世代が増加している。子育てが一段落したり、定年後の時間を利用し、一度は諦めた研究テーマや仕事を通じて抱えていた課題をじっくり探求できるという。人生100歳時代に突入し、AI台頭などを背景に社会の激変が予想される。学び続ける必要性が指摘される一方、知的好奇心に向き合い、主体的に学習する姿に“学びの本質”が浮かび上がってくる。(宮田奈津子)

 「年齢的に研究を仕事につなげることは難しいが、分からないことを調べ、知る過程が楽しい」。そう話すのは東京経済大学大学院経済学研究科博士後期課程の石垣克己さん(65)だ。

 石垣さんは大学卒業時、公務員として社会に出る期待と同時に、「もっと勉強したい」という気持ちを残した。定年を控えた平成27年4月に同大学院に入学し、今は韓国・金大中(キム・デジュン)大統領時代の経済改革をテーマに博士論文を執筆している。

 教員として経験を積んだ豊泉博幸さん(69)も昨年4月から、同研究科修士課程で社会思想史を学び直している。「学生時代に読まずに終わった資本論に挑戦したり、自由に研究できる。若い世代や留学生から教わることも多い」と充実した表情を見せる。

 ◆若い世代のいい刺激

 東京経済大(東京都国分寺市)は平成18年、全国初の試みとして、経済学研究科が52歳以上を対象にシニア大学院制度を設置した。開設にあたり、すでに受け入れを行っていたシニア研究生に調査を実施。学びへの意欲と同時に、「体力が不安」「介護などもあり学費が心配」といった声があがった。

 そのため、従来は2年の在学期間を3年または4年で選択可能にした。学費は2年分で選択期間に合わせ納付できるように負担軽減を図った。現在は4研究科に在籍する大学院生52人中、11人がシニア(今年1月時点)だという。

 経済学研究科の渡辺裕一准教授は「シニアの方々は問題意識が明確。経済学などは年齢を重ねるほど、面白くなる学問でもある。若い学生も当初は、祖父母のような人が勉強している姿に驚いていたが、今はいい刺激になっている。学内の多様性も広がる」と利点を指摘する。

 ◆学び深める助走に

 首都大学東京(八王子市)は今年4月、50歳以上が対象の履修証明プログラム『TMUプレミアム・カレッジ』を開講する。1期生の選考は倍率6・2倍の狭き門になった。小論文と面接の結果、約50人が学生生活をスタートさせる。

 同大の下山恭典・シニア教育担当課長は「公開講座(オープンユニバーシティ)に力を入れてきたが、シニアの参加が多く、『もっと体系的に学びたい』という声が寄せられていた。生涯現役で学びたいというニーズを捉えることは大切」と開設の経緯を振り返る。

 プレミアム・カレッジは、大学の教育研究資源活用に加え、都との連携が特徴だ。“東京・都市”をテーマに、〈都市を育み、活かす技術〉〈東京農業の今とこれから〉など、理論と実践のバランスを重視した多彩なカリキュラムが用意されている。学生はゼミナールなどで学び、1年間で論文をまとめる。

 下山課長は「これからのセカンドキャリアや歩んできた道を見つめ直すきっかけにしてほしい。学びを深めていきたいと考えているシニア世代にとって、助走のようなプログラムになれば」と話している。

 ■明大大学院や広島大も受け入れ 文部科学省の学校基本調査などによると、50歳以上の修士・博士課程、専門職学位課程入学者数は横ばいで推移しているが、50~54歳は増加傾向にある。明治大学大学院商学研究科は平成12年度入学からシニア入試を実施。四年制大学でも広島大学などでシニア入試を行い、学びの機会が広がっている。

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