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小原古邨…愛らしく繊細、木版花鳥画の小宇宙

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「紫陽花に蜂」(渡邊木版美術画舗蔵)前期の24日まで展示
「紫陽花に蜂」(渡邊木版美術画舗蔵)前期の24日まで展示

 柔らかく淡い色彩で描かれた草花、愛らしいしぐさの動物。穏やかでユーモラス-。明治末から昭和にかけて活躍した花鳥画の絵師、小原古邨(おはらこそん)(1877~1945年)の木版画だ。現在、東京都渋谷区の太田記念美術館でその知られざる画業が紹介されている。

 小原の作品はいたって優しい。たとえば「紫陽花(あじさい)に蜂」。ピンクの花と瑞々(みずみず)しい葉の緑の対比が鮮やか。アジサイの大きな花に目を奪われてしまうが、蜂が飛んでいる。よく見ると巣もある。軽やかに宙を舞う姿はかわいらしい。小さな生きものに寄せる作者の愛情がにじみ出るようだ。

 キツネを題材にした「踊る狐」は、ハスの葉を頭にのせ、片足を上げている。コミカルなポーズで愛嬌(あいきょう)たっぷり。笑みがこぼれ癒やされる。筆致の線がなめらかで繊細に表現され肉筆画のような趣もある。彫り師と摺(す)り師の熟練の技に支えられた証しだろう。

 石川県に生まれた小原は日本画家に師事し、花鳥画を描いていたが、20代半ばから木版画に転向し、花鳥画を数多く制作した。明治時代末期、浮世絵版画は衰退していったが、小原の作品は主に、欧米人向けの土産物として人気を得て海を渡っていった。日本では作品数の少なさなどもあり、没後、ほとんど忘れ去られてしまった。が、海外には多くの収集家がいて、美術館にも収蔵されているほどだ。書籍も出版されるなど近年、日本に先駆けて着実に研究が進んでいる。日本でも昨年、木版画集などが出版され、注目され始めている。

 「色はデジタル画像のように鮮明で濁りがない。しかも、絵がかわいい。そんな点が現代人には受けるのでは」と同美術館の日野原健司主席学芸員は解説する。

 太田記念美術館では、以前から知る人ぞ知る存在として小原に目をつけ展覧会の準備をしていた。その矢先の昨年秋、偶然にも神奈川県の茅ケ崎市美術館で展覧会が開催された。連携企画ではないため、出品作品は異なっている。

 明治から昭和前期までの作品約150点を展示。版画にするための原画として制作された肉筆画なども見どころだ。(渋沢和彦)

 「小原古邨」展は、3月24日まで、一般700円。問い合わせはハローダイヤル(03・5777・8600)。展示替えあり。

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