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【本郷和人の日本史ナナメ読み】中世のプリンセス(下)実はややこしい百人一首の「姫」

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八条院像(模本、東大史料編纂所蔵)
八条院像(模本、東大史料編纂所蔵)

 お姫さまを語る、と先週申しましたが、スランプのせいか、適当なお姫さまが思い出せません。ようやく思い浮かんだのが、「百人一首のお姫さま」でした。

 百人一首はいうまでもなく和歌を覚えた上で遊ぶ遊戯ですが、100首を暗記するのはたいへんです。それで本来の遊び方ではなく、小さな子供も楽しめるゲームとして「坊主(ぼうず)めくり」が考案されました。絵札に描かれた人物を「男性(殿)、僧侶(坊主)、女性(お姫さま)」に分け、絵札を取り合う簡単なものです。

 人物の絵柄には「この姿が絶対」という決まりが、どうやらないらしい。メーカーによって、変わってくる。具体的にはA「法性寺(ほっしょうじ)入道前(さきの)関白太政大臣」、B「入道前太政大臣」、C「蝉丸(せみまる)」、この3人は「殿」なのか、「坊主」なのか。Aは保元の乱の主要人物である藤原忠通(悪左府(あくさふ)頼長の兄)、Bは鎌倉時代前期の主要貴族である西園寺公経(きんつね)ですが、ともに晩年に出家しています。それで貴族の姿で描かれることもあり、出家の姿のこともある。Cの蝉丸は身分の低い雑色(ぞうしき)だったともいうし、逆に皇子だったという説もあって出自や経歴が分からない人ですが、少なくとも僧侶ではない。でも着ている衣服などから、「坊主」に数えられることが多いようです。坊主めくりのローカル・ルールでは、決まって重要な役割を振られるのがこの蝉丸です。

 さて問題の「姫」ですが、紫式部や清少納言など、21人います。これを畳などに座っている「えらい姫」と「ふつうの姫」に分けることがある。「えらい姫」は(1)「持統天皇」、(2)「式子内親王(しきしないしんのう)」、(3)「赤染衛門(あかぞめえもん)」、(4)「待賢門院堀河」の4人を指し、「ふつうの姫」は残りの17人、という分類が多いようです。

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