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滋賀・大津の「田上の衣生活資料」 国の登録有形民俗文化財に

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手ぬぐいや前垂れなど伝統的な田上の作業着を着用する女性たち(大津市教育委員会提供)
手ぬぐいや前垂れなど伝統的な田上の作業着を着用する女性たち(大津市教育委員会提供)

 国の文化審議会は、大津市田上(たなかみ)地区に伝わる「田上の衣生活資料」を国の登録有形民俗文化財とするよう文部科学相に答申した。植物の柄が織り込まれた手作りの仕事着や晴れ着は当時の農村の暮らしぶりがうかがえる貴重な資料で、地元住民らが自主的に収集、保存に尽力してきたことも評価された。登録されれば、県内の登録有形民俗文化財は昨年の「琵琶湖の漁撈(ぎょろう)用具及び大工用具」に続き2件目となる。(清水更沙)

 資料は江戸時代後期から昭和50年代まで使われていた紡織(ぼうしょく)用具と衣類で、製糸から機織(はたお)りまでの一連の作業工程が分かる製糸用具や製経用具など557点と、作業着や晴れ着、手ぬぐいなどの衣類801点の計1358点で構成される。

 資料は同地区にある真光寺元住職の東郷正文さん(82)が昭和40年ごろから同級生とともに収集を始めた。生活様式の変化に伴って捨てられるようになった民具や衣類を集めるうち、「郷土の文化が消えてしまう」との危機感を抱き、境内に「田上郷土史料館」を設立。以来、約50年にわたって地域住民の家に継承されてきた衣類や道具を保管し続けてきた。

 資料の中で古いものは明治時代のもので、田上地域では少なくとも江戸時代中期ごろには綿花の栽培が行われており、素材は木綿のものがほとんどという。

 田上地域では女性たちが製糸から仕立てまで自らで衣類を作り、母から娘へ作り方の技術や衣類が受け継がれる形で独自の文化が発展。女性の年齢で模様や柄が異なり、若い女性は柄が大きく派手なものを、年配の女性は柄が小さく、地味な色のものを身につけるなど、独自の風習もあった。

 昭和50年代までは田植えなどの際に女性たちが着用する姿が見られたものの、現在では作られていない。

 資料を調査している龍谷大の須藤護名誉教授(民俗学)は「当時の女性たちの生活ぶりを伝える資料は全国的にも珍しい。東郷さんらが実際に所有している女性から話を聞き、いつ、誰が、どのように使っていたのかを詳細に記録している点も資料としての価値を高めた」と評価している。

 文科相への答申は8日付で、東郷さんは「田上の女性たちがどんな生活を送っていたのか、おばあさんたちに話を聞いていて本当によかった。大変うれしく思っている」と話している。

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