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芥川賞に決まって 町屋良平さん、上田岳弘さん

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 さくらももこさんはどうだっただろう? まる子に愛情をそそぎながら、個性的な、お世辞にも「性格がいい」とはいえない登場人物にも、分け隔てなく愛情をそそぎペンを走らせていたと思う。さくらさんのそうしたところがとても好きだった。だからさくらももこさん自身も、作品の登場人物も愛された。だからさくらももこさんが亡くなったときに、ほんとうに沢山(たくさん)のひとがかなしみ、淋しいと、作品への愛情を語っているのを見て、ぼくはどこかうれしい気持ちもあったのだ。

 そうか、みんなさくらももこさんのことがこんなにも好きだったのだな。

 近年はさくらももこさんの作品を読むことから離れていたけれど、好きな気持ちはそのままだ。多くのひともおなじ気持ちだったのか、と実感できてなんだかさみしさと同時にうれしかったのだ。

 小説を書いているけれど、さくらももこさんのように愛される作品を自分が書けるとは思っていない。しかし、さくらももこさんの作品が「好きだ」という気持ちを、直接的にではなくてもそうした「好きの感覚」、なにかを好きだと思うときの特別な感慨を描きたいと思っている。その「好き」の対象は人間だけにとどまらず、自然や作品やすべてのものへ向かう可能性がある、広やかさを伴った「好き」の気持ちだ。

【プロフィル】町屋良平

 まちや・りょうへい 昭和58年、東京都台東区生まれ。埼玉県立越ケ谷高校卒。会社勤務のかたわら平成28年、文芸賞を受賞した「青が破れる」でデビュー。

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