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芥川賞に決まって 町屋良平さん、上田岳弘さん

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第160回芥川賞に決まり、会見する町屋良平氏=東京都千代田区の帝国ホテル(飯田英男撮影)
第160回芥川賞に決まり、会見する町屋良平氏=東京都千代田区の帝国ホテル(飯田英男撮影)

 第160回芥川賞(日本文学振興会主催)に決まった上田岳弘(たかひろ)さん(39)=「ニムロッド」(群像12月号)=と町屋良平さん(35)=「1R(いちラウンド)1分34秒」(新潮11月号)=が受賞を機に、心境の変化や作家生活を支えてくれた人々への思いを寄稿した。

町屋良平さん…「好き」の気持ち まる子から

 さくらももこさんが好きだ。

 昨年お亡くなりになったときは、なんともいえない、かなしいとも淋(さび)しいともいえない、形容しがたい気持ちになった。思えば、なぜさくらももこさんのことをこんなに好きなのかということすら、正確にはわかっていないのだった。

 とあるインタビューに応じたとき「ご自身をちびまる子ちゃんの登場人物にたとえるなら?」という質問をいただいた。取材をうけるのがあまり得意でない自分は、(藤木かな…卑怯(ひきょう)だから…)などと一瞬考えたが、ふと思い直し「まる子ですかね」とお答えした。よくよく考えたらまる子の小賢(こざか)しいところや知恵の回るところ、しかし素朴なところはひたすら素朴で、物事の捉えかたが突然シンプルに感じられるところなど、まる子に似ているといえなくもない。ここまで書いてきてようやく気づいたのだが、まる子にはどのような人間もどこかで「自分に似ている」と思えるような、普遍的な「人格」というのが備わっているのかもしれない。だからこそ、国民的ともいうべき爆発的な人気を博したのかも。

 今回芥川賞をいただいた小説「1R1分34秒」では語り手をやさしいと評してくださったかたがいた。語り手は人にうまく甘えることができず、甘えられる人間を見つけるとひたすらすり寄っていくようなところがある。自分ではこの語り手はイヤなヤツだと思いながら書いていた。しかしその語り手をやさしいと言ってくださる。ぼくは語り手をやさしいと言ってくださるひとのほうがやさしいのではないかとおもった。

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