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【書評】書評家・大森望が読む『東京の子』藤井太洋著

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『東京の子』藤井太洋著
『東京の子』藤井太洋著

 ■五輪後のリアル、軽やかに

 オリンピック以後の東京はいったいどうなるのか?

 不景気になる-という見方がもっぱらのようだが、藤井太洋の新作長編は、人口増と好景気に沸く2023年の東京を鮮やかに描き出す。外国人労働者の受け入れ枠拡大で2020年から3年間で300万人が流入、東京の人口は1600万人に達している。

 主人公の舟津怜は、ある事情から他人の戸籍を買い、仮部諫牟(かりべ・いさむ)として、新大久保にあるベトナム料理屋の上階の六畳一間に暮らす、23歳の青年。職場に来なくなった外国人を説得して連れ戻す仕事で生計を立てている。小学生時代の怜は、収入を得るためにはじめた、パルクール(障害物を乗り越えたり素早く移動したりするスポーツ)のパフォーマンスを見せるユーチューブ動画で人気を集め、海外のファンからは“東京の子(トウキョウ・ニッパー)”と呼ばれていた。パフォーマーを引退した今も、鍛錬は欠かさない。

 物語の主舞台となるのは、有明北地区の五輪競技施設跡地に建設された、日本版の職業能力開発大学校(ポリテクニック)、東京デュアル。いかにも近未来的なこのマンモス学校は、2年前の2021年に開校し、すでに約500社のサポート企業と提携。4万人の学生が、働きながら実務を学んでいる(2年後には学生数10万規模の大学となることが目標)。

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