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イサム・ノグチと長谷川三郎 伝統とモダン、融合への模索

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 戦時中の“沈黙”を経て、日本で出会ったノグチと長谷川は「古い東洋と新しい西洋の統合」という理想を共有し、深い絆で結ばれてゆく。民主主義国家を目指し、急速に欧米文化を吸収していた戦後日本で、伝統擁護の態度は物議も醸した。ただ、2人が意図したのは伝統とモダン、固有の文化と外からの影響を、自らの作品にどう融合させるか、だった。

 ノグチは銅鐸(どうたく)や書画、能楽など「古い東洋」を咀嚼(そしゃく)し、自らの新しい造形を深化させていった。長谷川は油彩をやめて拓本や水墨に移行し、伝統と抽象表現の融合を模索した。2人の作品を並べた一室は本展のハイライト。ジャズセッションのように、両者の共鳴共振を体感できるだろう。

 長谷川は芸術家として国内で良き理解者を得るには至らなかったが、ノグチらを介して米国に紹介されて評判を呼び、54年に渡米。日本文化ブームの中で彼の墨の作品や思想は大きく注目され、カリフォルニア州の大学などで教鞭(きょうべん)も執った。57年、50歳の若さで客死するが、ビート・ジェネレーションと呼ばれた当時の若き詩人や芸術家に多大な影響を与えたという。

 時代を超える普遍性や唯一無二の個性を持つノグチの彫刻に対し、長谷川作品は半ば忘れられ、再評価はこれからになりそうだ。ただ、文化の媒介者として、彼が偉大な仕事をしたことは確かだろう。

 3月24日まで、木曜休。一般1500円。問い合わせは045・221・0300。同展は日米共同企画で、ノグチ美術館(ニューヨーク)やアジア美術館(サンフランシスコ)に巡回予定。(黒沢綾子)

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