PR

ライフ ライフ

【甲信越ある記】長野・松本 「はかり資料館」 繭の重さで雌雄選別…熱意に感嘆

Messenger
「はかり資料館」は、明治から昭和末期までこの地で営業していた「竹内度量衡店」を改装した。「はかり」だけではなく、外壁や内装に至る資料館のたたずまいからも歴史を感じられる長野県松本市
「はかり資料館」は、明治から昭和末期までこの地で営業していた「竹内度量衡店」を改装した。「はかり」だけではなく、外壁や内装に至る資料館のたたずまいからも歴史を感じられる長野県松本市

 もし「度量衡」がなければ、納税をするにせよ、買い物をするにせよ、世の中はたいそうな混乱に陥ってしまうこと請け合いである。資料館の表記を平仮名で「はかり」としているのも、「測る」とか「量る」とか、さまざまな用途に使われる計器が展示されているからである。

 ことのほか、蚕種業や養蚕業といった蚕糸業が盛んだった松本の歴史を裏打ちする計器が展示されているのは、この資料館ならではの特色だといってよい。その数およそ30点に及ぶ。

 ある計器の用途にいささか驚かされたのは、さなぎになった蚕が繭の中にいる状態で重さを量り、雌雄を選別する計器があるのだと、学芸員の武井成実さんからうかがったときだ。いわく、その的中率は「7~8割だった」というから、なおのことではないか。

 やじろべえみたいな一種の天秤(てんびん)ばかりで、天秤棒の一方につるされた皿に繭を載せ、もう一方には1~20ミリグラムのアルミ製の重りをかけて量る。武井さんの話だと、雌は雄に比べると、10ミリグラム重いのだという。その軽重で判断したわけだ。

 雌雄の選別は、蚕種業にとって、防疫対策などから求められていたそうで、この地で計器を販売していた「竹内度量衡店」が大正初期に開発した。同様の計器は全国で開発されたが、その嚆矢(こうし)なのである。

 ただ残念なことに、当時の雌雄の選別は、繭を切開してさなぎを取り出し、体形などから決する方法が主流だったので、この計器はそれほど普及しなかった。それでも、これを編み出した同店の熱意や工夫に思いを致したとき、称賛に値すると言わざるを得ない。

続きを読む

「産経 日本を楽しむプロジェクト」SNSアカウント

公式SNSアカウント

Facebook Twitter

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ