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【明治の50冊】(44)北原白秋『邪宗門』 並外れた語彙、感覚を言語化

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 父からの送金による自費出版で、小口に金箔(きんぱく)を張り付け、ペーパーナイフでページをカットしながら読むぜいたくな造本。挿絵の位置や本文の組み方など、白秋自身が細かく指示を出し、時代を画す詩集を世に問わんという意気込みが伝わってくる。

 『北原白秋-言葉の魔術師』(岩波新書)を著した清泉女子大学の今野真二教授(日本語学)は、「白秋は言葉があふれ出る人。さまざまなイメージを言語化して詩や短歌、童謡など異なる器に盛りつけていった」と話す。

 語彙の豊富さも特徴的で、「森鴎外がいかに漢語を多く知っていたかというようなこととは違い、偏りなく網羅的に言葉を知っている」と指摘。白秋は国語学者、大槻文彦編纂(へんさん)の辞書『言海』を愛読していたといい、「すばらしい詩は、辞書をくる苦しみから生まれるものだ」といった言葉も伝えられている。並外れた語彙は、絶え間ない努力で強化されたものだった。

 『邪宗門』は刊行2年後の44年に改訂再版、大正5年に改訂3版が出たが、印刷のたびに、前にあった詩を外して新しいものを入れるなど、手を加え続けた。

 白秋自身が『邪宗門』と「車の両輪」と評する第2詩集『思ひ出』(明治44年刊)が、郷里・柳川での幼き日々をつづった序文「わが生ひたち」と重ね合わせ、自伝的に親しまれるのに対して、『邪宗門』の西洋的感覚は作り物感が強い。今野教授は「両方並べることで幅の広さが分かる」と話す。

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