PR

ライフ ライフ

【明治の50冊】(44)北原白秋『邪宗門』 並外れた語彙、感覚を言語化

Messenger
『邪宗門』(初版、易風社、(公財)北原白秋生家記念財団提供)
『邪宗門』(初版、易風社、(公財)北原白秋生家記念財団提供)

 詩や短歌、童謡などさまざまなジャンルで数多くの名作を残した北原白秋。24歳の時に初めて刊行したのが詩集『邪宗門』(明治42年刊)だ。

 われは思ふ、末世(まっせ)の邪宗(じゃしゅう)、切支丹(きりしたん)でうすの魔法(まはふ)。黒船(くろふね)の加比丹(かひたん)を、紅毛(こうまう)の不思可議国(ふかしぎこく)を、/色赤(いろあか)きびいどろを、匂鋭(にほひと)きあんじやべいいる、/南蛮(なんばん)の桟留縞(さんとめじま)を、はた、阿刺吉(あらき)、珍●(ちんた)の酒を。(「邪宗門秘曲」)

 邪(よこしま)な宗門、「邪宗門」とは江戸幕府によって禁制とされたキリスト教のこと。秘密の信仰を守り抜いた切支丹に自らをなぞらえ、「近代邪宗門の徒」(『邪宗門』序文)として、官能や神秘、妖美な幻想への耽溺(たんでき)を唱え、南蛮趣味に彩られたさまざまなイメージを、華麗な言葉で織り上げてみせた。

 「詩の生命は暗示にして単なる事象の説明には非ず」(序文)という主張は、当時盛んだった象徴詩の流れをくむものだ。西洋の象徴詩を紹介した上田敏(びん)の『海潮音』にも大きく影響を受けている。

 反響もあった。『邪宗門』をいち早く取り寄せた詩人、室生犀星(さいせい)は「活字というものがこんなに美しく巧みに行を組み、あたらしい言葉となって、眼の前にキラキラして来る閃(ひら)めきを持つ」と読後の感激を回想している。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ