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【話の肖像画】指揮者・大友直人(60)(1)父は新聞記者だった

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指揮者・大友直人(三尾郁恵撮影)
指揮者・大友直人(三尾郁恵撮影)

 〈4月12日、「天皇陛下御即位30年奉祝(ほうしゅく)公演」が東京都豊島区の東京芸術劇場で催される。そこで響き渡るのは交声曲「海道東征」(信時潔(のぶとき・きよし)作曲、北原白秋作詩)。「皇紀2600年奉祝行事」のために書かれたこの大規模な作品をまとめあげる指揮者は大友直人さん。欧米コンプレックスにむしばまれる日本の音楽界のありようを青年時代から憂い、欧米オーケストラのポストに焦がれることなく、国内にしっかりと根を下ろして活躍を続けるマエストロだ〉

 今、インタビューを受けている産経新聞東京本社が建つこの土地(東京都千代田区大手町)は、創業者の前田久吉(ひさきち)さんと私の父(大友六郎さん)が一緒に選定したと聞いています。

 父は大正元年生まれ。早稲田大学で雄弁会に所属した父は、学生運動を扇動したため、どうやら卒業できなかったようです。大学を中退して産経新聞の記者として働いているうちに前田さんに見込まれて秘書的な仕事をするようになり、前田さんの妹さんと結婚して義理の兄弟になっています。ただ、妹さんが早世されたため、しばらくして私の母(千恵子さん)と再婚しました。

 昭和33年、東京タワー完成の年に私は生まれました。同じ年に前田さんと父は産経を離れて、東京タワーを建てた日本電波塔に移籍しました。

 祖父はかなり問題の多い人物だったようです。酒と文学を愛し、文筆家として生きようとした男でした。祖父は周囲の仲介で鉄道省に入ったそうですが、そこで文学部を創設して鉄道省の機関誌の編集に携わりました。しかし宮仕えは性に合わなかったようで、じきに辞めて独立し、「鉄道文学」という文芸誌を創刊しました。

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