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【ときを紡ぐ絵本 親子とともに】「ひともじえほん」 文字を味わう

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「ひともじえほん」
「ひともじえほん」

 大人は子供が文字に関心を示すと、早く読み書きできるように、と期待しがちですが、子供は文字そのものを視覚的、情感的に捉え、味わっていきます。

 わが家の娘が幼い頃、私が絵本を読んでいると、文字の部分を指さして「ママ、ここ(を)言ってるの?」と聞いてきました。娘は、絵とともに並ぶ黒い記号のようなものが、絵と対応した言葉であることに気付いたのです。この頃から、娘はひらがなに関心を持ち、「“へ”は滑り台みたいね」「“こ”と“に”は仲良し」と、文字の形を面白がり、似ている形を見つけていきました。形と音の響きから、お気に入りの文字が生まれ、それらの文字を身の周りで見つけることを楽しみながら、文字を覚えていきました。

 その後、自分から文字を書き始めますが、思いを表したり、相手に伝えたりするために文字を使うようになるまでは、ゆっくりと進んでいきました。

 文字を視覚的に捉えて面白がる子供の視点は「文字の成り立ち」に通じます。例えば、漢字の成り立ちの一つである象形文字は、目に見えるものの形や線をもとに作られましたし、ひらがなは漢字の草書体から生まれたものです。

 個人差はありますが、子供は文字そのものの世界に心を寄せ、面白がりながら文字とかかわり、知っていきます。このような経験の積み重ねが、物事の本質を捉えようとするまなざしや思考を育てていきます。文字を操作することだけを急ぐのではなく、子供の文字との出合いを、大人も一緒に楽しみたいものです。

 体を通して、文字と出合う楽しさを教えてくれる本があります。平成23年に福音館書店から刊行された「ひともじえほん」(近藤良平作、柿木原(かきのきはら)政広構成、山本尚明写真)は、ひらがなの50音を人の体を使って表現している写真絵本です。1人や2人で作れる文字、何人かでなければできない文字、立ったり、寝転がったり、自分の体のいろいろな部位を使って文字を作ることで、文字の形と同時に、人間の体や、その動きの面白さも味わうことができます。また、韻を踏んだ言葉は心地よく響きます。文字の面白さを、全身で味わってみませんか。(国立音楽大教授 林浩子)

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