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【アート 美】共感を呼ぶ生々しい女性像 インベカヲリ★さん写真集「理想の猫じゃない」「ふあふあの隙間」

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「水元れい 2017」 写真集『理想の猫じゃない』
「水元れい 2017」 写真集『理想の猫じゃない』

 浴槽に沈む、クリームソーダを手に持った女性。街の喫茶店から一瞬で運ばれたように、めかしこんだままで。眠っているのか、それとも-。約20年間、出会った市井(しせい)の女性から人生体験を聞き取り、その内容を反映させた写真を手掛けてきた写真家、インベカヲリ★さんの新作が存在感を増している。生々しい現代女性像が平成末に突きつけるものとは-。(篠原知存)

ドキュメンタリー

 インベさんはこれまで写真だけを発表してきたが、新作写真集『理想の猫じゃない』『ふあふあの隙間(1)~(3)』(ともに赤々舎(あかあかしゃ))からは、撮影相手とのやり取りも書き記すようにした。インタビューに応じる彼女たちの様子や言葉が、作品のドキュメンタリー性を高めている。

 たとえば、浴槽の女性は〈水元れい〉さん。鬱のときは何もできないという告白があり、こんな言葉が続く。〈落ち込んで椅子に座っているようなときとか(中略)水の中にいるイメージが浮かぶ。水の中ですれ違うとか。水はすごく怖いんですよ。息ができないことがすごく怖い〉

 こっちも怖くなってくるが、彼女に限らず、明るい話題は少ない。精神疾患、家庭内暴力、自傷行為、孤独感、コンプレックス、復讐(ふくしゅう)心、焦燥、嘘…心のダークサイドがつづられている。

 「私だから引き出しちゃう面はあると思います。興味がそこにあるから。ネガティブな状況のときこそ、普段はあんまり人に言わないような言葉も出てくる。私はそういう言葉が聞きたい。名せりふに出合うと感動します」

映像と記述に共鳴

 〈書面上の幸福〉と言ったのは〈日和〉さん。彼女は暴力のある家庭で育ち、人が生きるというのは表向きを取り繕うことだと思っていた。「履歴書だけで見たら、たぶんうまく生きている。書面上はうまくいってるけど、中身は崩壊してるって。聞いたときには震えました」

 初対面の相手から3時間以上、話を聞く。そこからイメージをつむいで、衣装や撮影場所、構図などを決めて撮影に臨む。あまり構想を固めず、ライブ的に臨むこともあるという。

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