PR

ライフ ライフ

【王位継承物語】スウェーデンの「女王」 象徴制、男女同権の先駆者 関東学院大教授・君塚直隆

Messenger

 1980年1月1日、前年に議会の承認を受け、スウェーデンに「女系同等王位継承制」が導入された。これにより同国では、それまで男子のみに限定されていた王位継承権が女子にも与えられるようになった。そればかりではない。ここには「絶対的長子相続制」も盛り込まれ、第1子が女子である場合には、その子が継承権で優先されることになった。

 この結果、時のスウェーデン国王カール16世グスタフの長女で当時2歳のビクトリア王女が、前年5月に生まれたばかりの弟カール・フィリップ王子に優先され、未来の「女王陛下」となることも正式に決まったのである。

 実は、20世紀初頭の段階では、スウェーデンの君主には絶大な権限が与えられていた。議会の決定を覆したり、首相から下院の解散を要求されても拒否できたのである。しかしスウェーデンにも確実に民主政治(デモクラシー)の波はおとずれていた。

 2度の世界大戦を経た後、スウェーデンには議院内閣制も男女普通選挙権も確立された。戦後の54年から議会内の主要政党の代表からなる「憲法審議会」が設置され、君主の地位や権能を見直す討議が開始された。それは実に20年にもわたって慎重に進められたのである。そして現国王が即位した翌年、74年2月には国民主権と議会制民主主義を基本原則とする新憲法が制定された。新憲法には「政府が王国を統治し、政府は国会に責任を負う」と明確に記載されていた。

 これにより国王はそれまでの「大権」の大半を失い、儀礼的・国家代表的な権能の行使のみが保障されることになった。「国王は君臨も統治もしない」という「象徴君主制」の誕生である。このとき「男女同権」の考えに基づき、女子への王位継承権付与などが検討されたが、本格的に討議され、継承法に盛り込まれたのは5年後のことだった。

 とはいえ、スウェーデン国王は完全に政治や外交から離れたわけではない。国王はいまだに国家元首であり、特別閣議や情報閣議を通じて国家の中枢に関わっている。また国賓として世界各国を訪問する一方、海外からの賓客を接遇し、各国から信任状を携えて赴任する大使たちとも謁見を行い、信任状を受け取る役目も果たしている。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ