PR

ライフ ライフ

サリンジャー生誕100年 SNS世代に響く「ライ麦畑」、読み継がれる青春

Messenger
映画「ライ麦畑の反逆児」のワンシーン。若き日のサリンジャーが描かれる(c)2016 REBEL MOVIE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
映画「ライ麦畑の反逆児」のワンシーン。若き日のサリンジャーが描かれる(c)2016 REBEL MOVIE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

 今月は米作家、J・D・サリンジャーの生誕100年。世界的名声を得た代表作『ライ麦畑でつかまえて(キャッチャー・イン・ザ・ライ)』は青年の葛藤や鬱屈を口語体で軽やかに描き、長く読み継がれている。半世紀以上前の「青春小説の金字塔」が、会員制交流サイト(SNS)などで他人との距離感に悩む現代の若者にも支持される理由とは-。(本間英士)

 ◆少し違った見方

 同作は1951年、米国で刊行。高校を放校処分になった主人公のホールデンが家族や恩師、ガールフレンドらと対話を重ねながらクリスマス前の街を彷徨(ほうこう)する物語だ。傷つきやすく、汚い言葉を使って反抗する新しい主人公像は若者たちの熱狂的な支持を得た。

 社会の欺瞞(ぎまん)に対する若者の怒りを代弁している-。同作の魅力は従来、このような視点で語られることが多かった。だが、同作を扱った授業を昨年9月から行う立教大の新田啓子教授(米文学)は「今の学生は少し違った見方をしているようです」と語る。社会に対するホールデンの怒りには「時代の違いを感じる」「熱すぎて心に刺さらない」などとクールな視線を送り、その内面の悩みの方に共感しているという。

 ◆共通する悩み

 立教大3年の槍田(うつぎた)千咲さん(21)は「相手や周囲のことを考えすぎ、結果として距離を置いてしまう。でも、孤独にはなりたくない…。読み進めるうち、SNSでの距離感に苦しむ今の人たちが抱える悩みと似ていると思った」と指摘。東大大学院で文学を研究する藤原あゆみさん(26)は「『壁にぶつかっている若者』が自然に描かれており、半世紀以上前の小説とは思えないリアルタイム感がある」と語った。

 全世界で6500万部を突破し、今も世界で毎年25万部程度売れ続ける『ライ麦畑』。平成15年に新訳を手掛けた村上春樹さんは、同作について「世の中のほとんどの人々が自分の姿をそこに映すことのできる、個人的な鏡」と表現。「これからもまた同じように、多くの人に読み継がれていくことになるのだろう」(いずれも『村上春樹 雑文集』)と予見している。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ