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【書評】『維新と敗戦 学びなおし近代日本思想史』先崎彰容著 時代を診断した思想家たち

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『維新と敗戦 学びなおし近代日本思想史』先崎彰容著
『維新と敗戦 学びなおし近代日本思想史』先崎彰容著

 「人物」は、時代によって呼び出される。世界に対して何事か時代が求める役割を果たす人間、それを「人物」とするならば、現在43歳の先崎氏は、まさに今日の日本が必要として呼び出した「人物」である。

 では、その役割は何か。『維新と敗戦』というタイトルに示されているように、幕末維新期と大東亜戦争の敗戦と同じような「価値の転変」の中にあると氏がみなす今日の日本において、「この国を診る良医」であることである。

 氏は、しばしば、講演などで「思想家とは、時代を『診る』医者である」と語っているという。日本の近代化の過程で、社会あるいは個人は深刻な課題や問題点を抱えているが、それを診察して明るみに出し、適切な処方箋を出すのが思想家の仕事だというのである。本書において試みられているのは、近代日本の「思想家」の中から選ばれた福澤諭吉から保田與重郎(よじゅうろう)、丸山眞男、橋川文三、網野善彦まで23人の「人物」の「言葉」に耳を傾け、今日の日本に蘇(よみがえ)らせる作業である。

 本書は、この手の本にありがちなカタログ的なものになっていない。それは凡庸な「学者」の仕事である。氏は、時代に対する「文明批評家」的な視点からこれらの「思想家」の言葉を「批評」しているのである。23人の中に、頭山(とうやま)満と葦津珍彦(あしづ・うずひこ)を入れている点にも戦後の通念を超えた氏の新しさが表れている。

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