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【ミュージアム】サントミューゼ 上田市立美術館 奥深い村上早(さき)の世界へ誘う

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「息もできない」で描かれた少女は、地上に落下しているのか、すでに落下したのか。死んでいるのか、なぜ犬と一緒なのか…。鑑賞者は、想像を巡らせながら作品の妙を満喫できる(上田市立美術館提供)
「息もできない」で描かれた少女は、地上に落下しているのか、すでに落下したのか。死んでいるのか、なぜ犬と一緒なのか…。鑑賞者は、想像を巡らせながら作品の妙を満喫できる(上田市立美術館提供)

 「息もできない」というタイトルが付された作品は、一筆書きで仕上げたように見える。けれども銅版画なのだから、そうではあるまい。中村美子学芸員(43)のお話だと、「多様な銅版技法を組み合わせ、途方もない時間をかけて、重層したイメージをつくっている」とのこと。村上早(さき)さんという銅版画家が手がけた作品の奥の深さがうかがえる。

 聞けば、筆で描いたような線ができる「リフトグランド」や、松やにを使って明暗を出す「アクアチント」といった、銅版を腐食させる技法などを組み合わせてあるのだという。それを雁皮紙(がんぴし)という和紙に納得のいくまで何回も刷り上げた。

 技法はもとより、村上さんの心象風景が表現された構図には、誰もが息をのむのではあるまいか。

 「息も」では、犬と少女が描かれている。よく見ると、犬の後ろ足には別の少女の足と松葉づえがほのかに見える。中村さんの伝によれば、村上さんは、この少女で作品を仕上げようとしたのだが、思うところがあって削り直し、刷り直したのだという。

 見ていると、はかなさであったり、物寂しさだったりを、そこはかとなく漂わせているように感じられる。「息も」の少女には表情がない。頭上の黒い広がりは血なのか、そもそも少女は生きているのか…。

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