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2018年の3冊 花田紀凱氏ら各ジャンルの専門家がおすすめ…平成を象徴する1冊も

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 ≪文芸

 ■文芸評論家・縄田一男

 〔1〕雲上雲下 朝井まかて著(徳間書店・1700円+税)

 〔2〕修羅の都 伊東潤著(文芸春秋・1850円+税)

 ★影武者徳川家康(上・中・下) 隆慶一郎著(新潮文庫・790~840円+税)

 〔1〕どこまでも自由な筆致で、物語という共通言語の喪失の危機を訴えている。作者のオリジナリティーを含んだ説話=物語再生能力には目を見張るものがある。しかし、後半、天地にゆがみが生じ、いままで語り継がれてきた“遠い記憶”の分断がはじまり、ラスト、作者は物語るものの誇りをかけて、それらにおごそかな反旗を翻す。作者の現時点における最高傑作。

 〔2〕書き手の世代交代を象徴する意欲作。作者は鎌倉幕府の成立と、源頼朝の老いを迫真のタッチで活写。『吾妻鏡』の空白期に着眼し、整合性のあるストーリーを構成している。そして、その中で、貴族の時代、武士の時代、さらには現代においても庶民にとって暮らしやすい時代はあったか-と問題提起も行っている。

 ★一時期、ビジネスマンの副読本にまで堕していた時代小説を、網野善彦の中世史学と類い稀な物語性を融合し、見事なまでに昭和から平成に架橋した作者の代表作(平成元年)。歴史上の有名無名のヒーローと中世放浪の自由民たちが歴史の背後でつくるユートピアと、それを阻止しようとする権力者との闘争を誇らかな人間賛歌の中にとらえた雄渾(ゆうこん)な大作である。

                   

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