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2018年の3冊 花田紀凱氏ら各ジャンルの専門家がおすすめ…平成を象徴する1冊も

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 ≪ノンフィクション

 ■ノンフィクションライター・河合香織

 〔1〕極夜行 角幡唯介著(文芸春秋・1750円+税)

 〔2〕津波の霊たち 3・11死と生の物語 リチャード・ロイド・パリー著、濱野大道訳(早川書房・1800円+税)

 ★セラピスト 最相葉月著(新潮文庫・840円+税)

 〔1〕地球上には極夜という、一日中太陽が昇らない時間が数カ月も続く地がある。探検家である著者は、1匹の犬とともに極夜の冬を4カ月過ごす。自分の姿さえ見えない暗闇の中では自己の存在は揺らぎ、内面は限界まで掘り下げられていく。その思考の過程が秀逸だ。生きている実感が希薄になりつつあった心を、暗闇の果てに昇る太陽のように照らしてくれる一冊だ。

 〔2〕在日20年の英国人ジャーナリストが、東日本大震災で起きた大川小学校の悲劇と被災地における心霊現象に迫った。私たちは辛(つら)いことを受容し、耐えることを美徳としてきたが、著者は日本人のその精神にはうんざりだと切り込む。受容するという形の思考停止になっていなかったか、改めて考えさせられた。

 ★平成は、何度も大きな震災を経験し、その度に心のケアが叫ばれた時代であった。だが、そもそも心をケアするとは何なのか。平成26年に刊行された本作は、セラピストがクライアントとともに降りていく深い世界を描いた。著者の抑制的で誠実な視点は温かく、読み返すごとに乾いていた魂が大きなものに包み込まれていく安堵(あんど)感を感じた。次の時代にも大切に読み継がれてほしい名作である。

                   

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