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「妖怪を文化にした水木さん」京極夏彦さん講演

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講演する京極夏彦さん
講演する京極夏彦さん

 生前の水木しげるさんと交流があり、50年来のファンという作家の京極夏彦さんが企画展に伴い、「水木さんの素(もと)・妖怪の元(もと)」をテーマに記念講演を開いた。水木漫画の全貌を納めた「水木しげる漫画大全集」(全103巻)の監修を務めた京極さんは「近現代の日本で“妖怪”を、世界で“YOKAI”を確立させたのは間違いなく水木さん」などと指摘。水木さんが妖怪をどのように作ったかについてもわかりやすく解説し、来場者約240人を魅了した。

 「妖怪」という言葉は古くからあるが、そこからイメージされるものは時代時代によって変わってきたという。「現在、“妖怪”は鬼太郎に出ているようなものと思われている。一般にいう妖怪は、明らかに水木しげるのキャラクター」と説明し、言い伝えなどで「現象」として残っている民俗学の妖怪などとの違いに言及した。

 具体的に水木さんの妖怪は「子どもの頃の思い出」「戦地で培った他界観」「現世で追い求める幸福」の3つの要素が入った「形と雰囲気」で作られているといい、形のない現象としての妖怪はもちろん、3要素を表わす「懐かしさや、あの世、幸福」が欠けている(河童(かっぱ)などに代表される)民俗学的な妖怪やオカルトなどとは大きく違うとした。

 さらに形(妖怪の外観)については、3要素に合うものを、江戸時代の風刺画や文楽人形の首(かしら)、イヌイット(先住民族)の仮面などから持ってきて、何かが起こりそうな雰囲気を細かな背景で表わし、そこに形を置いてセットで妖怪とした-と解説した。

 また、水木さんは戦地で地獄を見たが、同時に現地の人の暮らしに天国を見て、終戦後、現地除隊をしたいとまで言い出したことにも注目。結局は帰国を選ぶが、天国と地獄が同時に存在する、まさに“あの世”から帰ってきたことで、水木さんの中に「あの世とこの世は地続きだ」という不思議な他界観が生まれたことも妖怪を作るのにベストで、妖怪に行き着くのも当然だったとした。

 京極さんは「(水木さんにとって)境港の自然やそこでの神秘的な出来事など、子どもの頃の思い出が大事だった」とし、「行ったことがないのに懐かしい、見たことがないのに覚えている-そんな普遍化された嘘の郷愁を呼び起こすもの」が妖怪の元になって水木しげるの素になっていると結論づけ、「妖怪を作り上げ、文化にまで昇華させた」と水木さんを称えた。

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