PR

ライフ ライフ

【話の肖像画】俳優・黒田福美(62)(3)正義感は親譲り

Messenger

 〈尽力してきた日本軍の朝鮮人特攻兵の慰霊碑作りは、慰霊碑のパンフレットの「若い命を日本国のため犠牲にした」という部分が韓国で問題視された〉

 「日本国のため」という部分が日本に「与(くみ)した」という意味にとれるので、「せいで」のような語彙に替えるべきだというのです。さらに、「戦時下の強制労働や慰安婦問題についての謝罪の文言を盛り込むべきだ」と碑文の変更を求めてきたことで彫刻家の先生ともトラブルになりました。何とか説得して決裂という事態は避けられましたが、「日韓友好の懸け橋」となるはずだった石碑の建立ににわかに暗雲が漂い始めたのです。

 〈紆余(うよ)曲折を経て、泗川(サチョン)市での慰霊碑の建立にこぎ着けた。しかし、除幕式直前になって反日団体が妨害に動き出した〉

 彼らは石碑の撤去と除幕式を中止するよう泗川市長に要求しました。韓国では「反日カード」を掲げた団体が出てくると、彼らの行動を戒めたり、批判したりすることが誰もできなくなってしまいます。案の定、市側は手のひらを返して協力を拒んできました。

 最悪の事態でしたが、私たちだけで除幕式が行えたのが唯一の救いでした。特攻兵の遺族の方々が感涙して石碑に語りかけているのを見て、ようやく役目が果たせたと安堵(あんど)しました。

 〈しかし抗議はやまず、平成20年、慰霊碑は撤去の憂き目に遭った〉

 撤去された慰霊碑は泗川市内の寺、京畿道(キョンギド)龍仁(ヨンイン)市の法輪寺(ポンリュンサ)に再建されましたが、現在は再び、事実上撤去されています。

 〈抗議をものともしない一本気な気質は子供のころからだという〉

 昔から正義感はやたらと強かった。根が真面目なものですから、物事に誠実じゃない人を見ると、後悔するくらい怒っちゃうんです。

 大学生ぐらいの時ですかね。デパートのトイレでおばさんが高校生をガミガミ怒鳴っている場面に遭遇したことがあって。鍵をせずに個室に入っているところを高校生が気づかずに開けてしまったようで、すごいけんまくで怒っている。私、見ていられなくなって、「ちょっとおばさん、こんな公共の場で鍵を掛けないで入っているほうがおかしいんじゃないですか」と口を挟んだんです。そうしたら言い合いになって…。そんなことばっかり。

 〈その性格は先祖譲りだとも〉

 祖父は江戸指物(さしもの)の職人で、無口で不器用な典型的な職人かたぎの人。父も曲がったことが大嫌いな江戸っ子で、あちこちでけんかしてました。宵越しの金は持たないという性分でしたから、母はずいぶん苦労させられたようです。

 その反動か、母は私に地に足のついた生活を送るよう、普段から言い聞かせていました。一人っ子だったこともあり、「手に職をつけるように」と言われ続けました。

 〈しかし、演劇の道に進む〉(聞き手 安里洋輔)

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ