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【話の肖像画】俳優・黒田福美(62)(2)慰霊碑建立で問題が

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(斎藤良雄撮影)
(斎藤良雄撮影)

 〈芸能界きっての韓国通として知られる中、夢に見た日本兵になった朝鮮人の若者を捜すようになる。そんなとき、テレビのドキュメンタリー番組を見ていて、若者を見つけることができた〉

 「特攻の母」、鳥濱(とりはま)トメさんを取り上げた番組でした。トメさんは、特攻隊の前線基地だった鹿児島の陸軍知覧飛行場近くで食堂を営んでいた方です。

 その番組では、出撃前夜に朝鮮民謡「アリラン」を歌ったという光山文博さんこと卓庚鉉(タク・キョンヒョン)さんのことが紹介されていました。あの靖国神社で見つけた夢で見た若者です。番組終盤、卓さんのいとこの卓貞愛(タク・ジョンエ)さんが当時の思い出を語る場面が出てきました。親戚をついに見つけたのです。

 〈平成12年2月、親戚を手掛かりに韓国・釜山(プサン)へ渡った〉

 卓さんにしろ、戦争で犠牲になった朝鮮半島出身の人たちは、やはり本当は自国の同胞たちにこそ弔ってもらいたいと思っているに違いない。そんな思いで、遺族に「ぜひ慰霊碑を建てて差し上げたい」と申し出ました。理解を得ることができました。

 〈夢で見た若者捜しから始まった朝鮮人特攻兵の慰霊碑作りは、さまざまな障壁をクリアしながら少しずつ進行していった。予想外の反応も出てきた〉

 仕事の合間を縫って韓国通いを続け、いよいよ慰霊碑の制作に取り掛かる段階になりました。

 19年8月、私の活動を紹介する記事が日本の新聞に掲載されると、想定以上の反響がありました。寄付の申し出が相次ぎ、多くの方から励ましの声をいただいたのです。韓国専門の旅行会社からは、「日韓友好のために、慰霊碑の除幕式に参加するツアーを行いたい」という申し出がありました。

 〈泗川(サチョン)市が慰霊碑の建立地を提供することになり、彫刻家の権威が慰霊碑のデザインに名乗りを上げた〉

 日本でも韓国でも、どんどん話が大きくなっていきます。私が不安を覚えたのも事実です。この頃には、仕事の合間に日本と韓国を行き来することが負担になってきていました。

 〈慰霊碑が世間の耳目を集めるようになっていくにつれ、関係者それぞれの思惑が交錯し始める〉

 除幕式は20年5月10日に行うことに決まり、3月にツアーの発表会見を日韓両国で開催することになりました。ところが、会見直前になって報道陣向けに配布する予定だったパンフレットに泗川市側から物言いがついたんです。

 〈問題とされたのは大田昌秀・元沖縄県知事がパンフレットに寄稿した文章のうち、「若い命を日本国のため犠牲にした」という一節だった〉

 「日本国のため」の「ため」という部分に問題があるとされたのです。(聞き手 安里洋輔)

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