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【話の肖像画】俳優・黒田福美(62)(1)朝鮮半島出身の日本の特攻兵

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卓庚鉉さんの写真を手に(斎藤良雄撮影)
卓庚鉉さんの写真を手に(斎藤良雄撮影)

 〈数多くの映画、ドラマに出演する人気俳優であり、芸能界きっての韓国通・親韓派として知られる。今年、著書「それでも、私はあきらめない」を発表した。先の大戦で命を落とした朝鮮半島出身の「日本兵」の慰霊碑建立に奔走した日々を振り返る回顧録だ〉

 興味を持ったのが何で韓国だったんですか、とよく聞かれます。

 1980年代当時、アイドル的な人気を誇ったバレーボール選手の姜萬守(カン・マンス)さんのファンになったのがきっかけですが、すぐに興味の対象は韓国という国そのものに移りました。それから韓国語を勉強し、日韓を何度も行き来しました。だから韓国との関わりは約35年になります。

 最初は「番組作りに関われたらいいな」ぐらいの思いだったのですが、ソウル五輪でリポーターを務めたり、韓国のことばっかり十何冊も本を書いたり。ましては日韓関係に一石を投じるようなことをするとは思いもよりませんでした。

 〈一石を投じたのは、発表した著書に書かれている慰霊碑建立だ。出来事のきっかけが不思議だったという〉

 平成3年7月に夢を見ました。南の島とおぼしき渚。若者が静かに近づいてきました。彼は、自分が飛行機乗りだったこと、ここで命を落としたことなどを屈託のない笑顔を浮かべながら話しました。そして「ただひとつ残念なことがある」と言って、私に「僕は朝鮮人だというのに、日本人として『日本の名前』で死んだことなんですよ」と訴えたのです。

 〈信じられない思いを抱きつつ、夢に出てきた若者が脳裏に焼き付き、離れなくなった〉

 戦時中、朝鮮半島は日本国の一部で多くの朝鮮人兵士が亡くなりました。そこで、夢に出てきた彼もその一人なのではないかと思い、靖国神社を訪ねてみることにしたのです。自分なりの弔いをし、その顛末(てんまつ)を新聞の連載に書いたところ、記事を読んだという靖国神社から連絡を受けました。

 〈案内されたのは、靖国神社に併設された資料館「遊就館」。担当者が一人の若者の写真を見せた〉

 それが光山文博さんこと卓庚鉉(タク・キョンヒョン)さんでした。平成13年に公開された映画「ホタル」に描かれる朝鮮人特攻隊員のモデルにもなった方です。昭和20年5月11日に戦死されています。夢の若者は彼だと直感で思い、彼の痕跡を少しずつ集めていくようになりました。(聞き手 安里洋輔)

                   ◇

【プロフィル】黒田福美

 くろだ・ふくみ 昭和31年、東京都生まれ。桐朋学園大学短期大学部(現桐朋学園芸術短期大学)卒業後、会社員を経てTBS系テレビドラマでデビューし、ドラマや映画「タンポポ」「あげまん」などに出演。日韓関係の発展に寄与したとして、平成23年には韓国政府より「修交勲章興仁章」を受章。「ソウルマイハート」(講談社文庫)などの著書がある。

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