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【聞きたい。】森見登美彦さん『熱帯』 「人生の空白期」が生んだ怪作

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新作小説『熱帯』を手掛けた作家の森見登美彦さん
新作小説『熱帯』を手掛けた作家の森見登美彦さん

 汝(なんじ)にかかわりなきことを語るなかれ-。京都を舞台とした多くの小説で知られる作家が8年の月日をかけた新作は、この謎めいた警句から始まる。一つの物語がまた次の物語を生む「入れ子構造」が、500ページ以上にわたり続く怪作だ。

 「(執筆は)本当に苦しかった。こういう小説はもう二度と書きません」。苦笑いで振り返る。

 物語は5章構成。1章の語り部は著者本人を彷彿(ほうふつ)させる悩み多き作家だ。かつて途中まで読んだ小説「熱帯」の続きが無性に気になる作家は、参加した「沈黙読書会」と呼ばれる会合で同書をめぐる謎めいた逸話を知る。「『最後まで読めない謎の本』と、これまでの自分らしくない題名。それだけを決め、気軽な気持ちで走り出しました」

 物語の鍵となるのが『千一夜物語』。語り部の王妃、シャハラザードが夜ごと語る物語の登場人物が別の話を生むように、今作も語り部が交代し、別の物語を紡ぐ。舞台も東京や京都、旧満州と移り変わる。「小説を論じるならともかく、『小説をめぐる小説』は危険な題材でした…」

 平成22~23年、ウェブ文芸誌で前半3章を連載。だが、その頃から多忙により「小説を書く理由」が分からなくなり、“人生の空白期”と呼ぶ休筆期間を経験。昨年から今作を一から書き直し、後半2章を加えた。

 「自分にとって、『小説とは何か』を知るのが一番切実だった。だから、こういう変な小説を書かざるを得なかったんです」

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