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【書評】文筆家・木村衣有子が読む『ニホンオオカミの最後 狼酒・狼狩り・狼祭りの発見』

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『ニホンオオカミの最後 狼酒・狼狩り・狼祭りの発見』遠藤公男著
『ニホンオオカミの最後 狼酒・狼狩り・狼祭りの発見』遠藤公男著

 ■ロマンあふれる動物ルポ

 ニホンオオカミは、少なくとも100年と少し前までは、本州、四国、九州にすみ着き、裏山にその存在感を誇っていた。

 1933(昭和8)年生まれの、動物文学者の遠藤公男さんは、生きて跳ねるその姿を目にしたことはない。しかし、青年時代にはその生存を信じていたといい「狼(おおかみ)ファン」だと胸を張る。

 そういえば私は、あるとき道案内をしてくれた人に、お礼にと、オオカミの絵があしらわれた手拭いを送ったことがあった。その人が住んでいるのは「岩手郡雫石町長山狼沢」だったから。かっこいい住所ですね、と添え書きしたら、わたしもそう思っています、との返事をもらった。

 この「狼沢」という地名は「おおかみざわ」ではなく「おいぬざわ」と読む。かつて、たとえば鹿などオオカミの狩りの食べ残しを「オイヌクサレ」と呼んだとこの本にはあって、その読みに合点がいく。他にも「狼」の字が使われた地名が数多(あまた)みられる岩手県。ここが、動物ルポルタージュ『ニホンオオカミの最後』の主な舞台となる。

 オオカミを捕獲して県に届け出ると賞金がもらえたという。明治時代の、2年分の「狼の七十五頭の捕獲地と八十数人の猟師の住所氏名」の記録を、岩手県庁の公文書庫にて遠藤さんは見つけた。

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