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【書評】小説家・秋山香乃が読む『斗星、北天にあり』鳴神響一著

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『斗星、北天にあり』鳴神響一著
『斗星、北天にあり』鳴神響一著

 ■異色の題材、切り口に喝采

 『私が愛したサムライの娘』(角川春樹小説賞)でデビューした翌平成27年、同作で野村胡堂文学賞も受賞して注目を集めた鳴神響一氏が、満を持して臨んだ初の本格的歴史小説が本書である。

 時は戦国。舞台は出羽国。主人公は、「北天の斗星」の異名を持つ安東愛季(ちかすえ)だ。コアな戦国ファンには智将で知られているものの、一般的には無名に近いこの武将の生涯を、真正面から取り扱った作品がこれまでにあっただろうか。手ごわい題材によくぞ挑んだと喝采を贈りたい。

 群雄犇(ひし)めき、互いに知略をめぐらせて版図を奪い合う、複雑に流動する出羽地方の戦国期は、多くの読者にはあまりなじみがないだけに、いったいどうさばいて味付けしたのか。

 そこは海洋ものに定評のある作者らしい切り口で、「海と共に生きて」きた一族としての安東氏をクローズアップし、戦働きだけでなく、東北一の湊(みなと)と、異国の品さえ集まる豊かな商業都市造りに懸けた男たちの姿をも描き出す。

 物語は元服したての15歳の愛季が、弱体化して多くの権利を奪われた檜山安東家の嫡子として立志するところから始まる。領国の人々を飢えから守り、生活を豊かにするために、「北の海がすべて安東の海だった」「かつての力を取り戻」すのだ--と。

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