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【本ナビ+1】栄華の影にわだかまる「恐れ」 ライター、永青文庫副館長・橋本麻里

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永青文庫副館長で美術ライターの橋本麻里さん=11月18日午後、東京都文京区目白台(斎藤良雄撮影)
永青文庫副館長で美術ライターの橋本麻里さん=11月18日午後、東京都文京区目白台(斎藤良雄撮影)

 『闇の日本美術』山本聡美著

 目次を開く。各章のタイトルに並ぶ文字は「地獄」「鬼と怪異」「病」「死」「断罪」「悲しき女」と、確かに恐ろしげだ。だが、そこで取り上げられている、平安時代末期から鎌倉、室町時代と描き継がれてきた、絵巻物を中心とする聖俗の絵画は、これまで必ずしも恐怖や痛苦といった主題から語られてきた作品ばかりではない。

 そこにあえて「闇」というテーマを、まさに串刺しにするように通したとき、何が見えてくるのか。

 故実に通じたディレクターの指揮の下、高価な紙と顔料を大量に用い、高度な画力を備えた絵師を多数動員する絵巻制作は、公共事業レベルの大規模文化プロジェクトとして行われた。

 そして平清盛や後白河上皇らの権力者たちが、膨大な資金と時間を費やして作品をつくらせた動機は、栄華を極めてさえ、いやそうであるほど消えることのない、「恐れ」にあった。

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