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将棋の豊島将之王位が就位式 「理想の将棋指せた」

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王位就位状を手にする豊島将之王位(田中夕介撮影)
王位就位状を手にする豊島将之王位(田中夕介撮影)

 将棋の豊島将之(とよしま・まさゆき)新王位(28)=棋聖=の就位式が11月14日、東京都千代田区のレストラン、日比谷松本楼で行われた。「第59期王位戦七番勝負」で9月、菅井竜也(すがい・たつや)王位(26)を4勝3敗で破り、初の王位を獲得。八大タイトルを8人で分け合う「群雄割拠」から一歩抜けだし、唯一の二冠となった。新たな将棋界のヒーローを祝福しようと多くのファンや棋士関係者が駆けつけた。

ポーカーフェース

 華やかさの中で行われた就位式。豊島王位は黒のスーツで臨んだ。

 日本将棋連盟の佐藤康光会長(49)が挨拶に立った。

 「豊島さん、王位おめでとうございます。棋聖のタイトルと合わせて二冠、こちらもおめでとうございます」

 七番勝負開幕直後の7月、羽生善治棋聖(48)=竜王=から、5度目のタイトル戦挑戦で初タイトルとなる棋聖を奪取。豊島棋聖の誕生で、将棋界は八大タイトルを8人が分け合う状態となった。しかし、その2カ月後、豊島棋聖が王位も獲得したことで他の棋士を一歩、リードした。

 「七番勝負は初の平成生まれ同士のタイトル戦となりました。今後もそういう形が続いていくと思いますが、その第1章。多くの平成生まれの強い棋士の中で先頭を引っ張る2人の対決となりました」と佐藤会長は続けた。

 初の平成生まれ同士のタイトル戦として注目された今シリーズ。来年には、その平成の時代も終わる。

 「菅井さんは振り飛車党(ふりびしゃとう=飛車を左翼に移動して使う戦法)、豊島さんが居飛車党(いびしゃとう=飛車を初期位置である右翼に置いたまま使う戦法)。いや、豊島さん、オールラウンダー(居飛車も振り飛車も対局に用いる人)ということでいいですか? 居飛車党と言ったら怒られますね。どういう戦型(戦法の型)になるか注目されました」

 結局、戦型は全局で、菅井王位が振り飛車、豊島棋聖が居飛車での戦いとなった。

 「振り飛車対居飛車は、将棋界で対抗系という言い方をします。どちらにも多くの変化があり、見る人には応援のしがいのある対局が続いたと思います。早くから戦いが始まることがあれば、いつ終わるのかという戦いもあり、楽しまれたファンの方も多かったのではないでしょうか」

 全7局とも先手番が勝利し、交互に星を重ねた。

 「気合を前面に打ち出す菅井さんに対し、非常にポーカーフェースの豊島さん。結果は豊島さんが王位を獲得され、二冠に。八大タイトルを8人で分け合う状態から豊島さんが一つ抜け出した形になりました。豊島二冠にはこれからも将棋界を引っ張っていただき、新しい将棋をつくってもらいたい」と佐藤会長は挨拶を締めた。

 その後、連盟から豊島王位に王位就位状と王位杯が授与。記念品として、福岡県在住の陶芸家で人間国宝、福島善三氏作の「赫釉壺(かくゆうつぼ)」が贈呈された。

「理想の将棋指せた」

 豊島王位は4歳のとき、羽生竜王らを紹介したテレビ番組をきっかけに将棋に興味を持った。小学生の頃から「天才少年」と呼ばれ、高校2年生でプロ入り。20歳の若さでタイトル戦初登場を果たした。しかし、4度の挑戦にもタイトルには縁遠く、インターネット上では「無冠の帝王」との書き込まれたことも。しかし、今年、一気に花開いた。

 豊島王位が謝辞に立った。

 「多くの方にお集まりいただき、ありがとうございます。今期の王位戦は7局とも大変な内容でした。特に印象に残っているのは第6局と第7局です」

 第6局は終盤、千日手(対局者の持ち駒の種類や数、手番が全く同じという状態が1局中に4回現れると千日手となる。その場合その勝負をなかったことにする)が予想された。しかし、終盤で菅井王位に致命的なミスが出た。第7局は、豊島王位が初タイトルの棋聖を奪取した東京都千代田区の都市センターホテル。縁起の良い対局場だ。

 「第6局は非常に長手数の将棋になり、二転三転としました。はっきり負けの局面があり、自分にとっては幸運だったと思います。7局目は自分の持っている以上の力を出すことができ、自分の理想とする将棋を指すことができました」

と振り返った豊島王位。最後に、こう結んだ。

 「二冠になったんですが、まだまだ実力的には至らないところばかり。これから少しずつ実力をつけていきたいと思います」

杞憂に終わった

 「最終局まで一進一退の厳しい戦いが続いたので、体調を心配していましたが、杞憂(きゆう)に終わり、良い結果が出て、ほっとしています。精神的に強く成長したと思うので、より多くのタイトルを取ってほしい」

 弟子の活躍を喜ぶ師匠の桐山清澄(きりやま・きよずみ)九段(71)による乾杯で開宴した。参加者は会場のレストランの名物であるカレーなど数々の料理を堪能。あちらこちらで記念撮影のシャッター音が聞こえた。(文化部 田中夕介)

 豊島将之(とよしま・まさゆき) 平成2年、愛知県生まれ。19年、四段プロデビュー。23年、王将戦でタイトル初挑戦。28年、JT杯日本シリーズで優勝。29年、八段昇段。30年、棋聖、王位。

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