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【海峡を越えて 「朝のくに」ものがたり】(46)姜尚中 在日2世物語の終焉 もう国籍にこだわらない

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「そう長くない先に日本国籍を取ることになるでしょう」と語る姜尚中氏(三尾郁恵撮影)
「そう長くない先に日本国籍を取ることになるでしょう」と語る姜尚中氏(三尾郁恵撮影)

 姜尚中(カン・サンジュン)(68)にはいろんな「顔」がある。

 元東大教授、ベストセラー作家、美術番組司会者、テレビのコメンテーター…。そして、とりわけ強いイメージを残したのが、在日韓国人2世として生まれた苦悩を語る発言者としての「顔」であろう。

 戦後73年経(た)ったいま、在日コリアンは、3世が中核を担いつつあり、4世も数を増やしている。

 彼らの意識や、取り巻く社会環境も大きく変化した。総数は50万人を切り、在日中国人にトップの座を譲ってから久しい。日本への帰化者は毎年5千人前後を数え、日本人配偶者との間に生まれた子供たちの多くは日本国籍を選択する。結婚、進学、就職、スポーツにあった「壁」もどんどん取り払われてゆく…。

 姜は、こうした現状をどう見ているのか。

 「ぼやけてきていると思います」。そう表現した。外国籍を維持しながら日本社会で暮らす『在日』という存在や意味が曖昧になっていると言うのである。

 日本統治下の朝鮮半島から、成人として日本へ渡ってきて苦労を重ねた1世は、今やほとんど残っていない。日本生まれの2世も、そろそろ鬼籍に入り始めている。「3世、4世になると、韓国に戸籍の登録もしていないだろうし、日本人との結婚も当たり前になっている。彼らは、なぜ、自分が『在日』でいるのかすら分からない。親が韓国・朝鮮籍だから惰性で外国籍を維持している人が多いと思います」

 姜によれば、戦後「在日の物語」を紡いできたのは実は2世なのだという。1世と違い、文字を知り、高等教育を受けた者が多い。過去の記憶をたどり、国もない、よりどころもないアンビバレンツ(二律背反)な苦悩を、さまざまな表現方法で語ることができた。

 「2世もあと10年もすれば、かなりいなくなるでしょう。“遠心力”にかけられて、在日という存在はますます焦点がぼやけ、見えにくくなる。もちろん、過去の記憶にアイデンティティーを求め、強い民族意識を持ち続ける人もいるでしょうが、長い目で見れば、日本国籍を取るのが自然の流れでしょうね。ひとつの物語の終焉(しゅうえん)です」

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