PR

ライフ ライフ

フェルメール展(3) 黄色い上着 流行モード、巧みに表現

「手紙を書く女」1665年頃 ワシントン・ナショナル・ギャラリー National Gallery of Art,Washington,Gift of Harry Waldron Havemeyer and Horace Havemeyer,Jr.,in memory of their father,Horace Havemeyer 1962.10.1
Messenger

 着回し術はファッション誌の定番企画だが、オランダの画家、ヨハネス・フェルメール(1632~75年)もなかなかの着回し上手。毛皮で縁取られた、黄色いサテンの上着のことだ。

 35点ほどしかないとされるフェルメールの現存作のうち、実に6点に登場する。上野の森美術館(東京・上野公園)で開催中の「フェルメール展」でも、「手紙を書く女」「真珠の首飾りの女」「リュートを調弦する女」の中に見ることができる。

 画家の死後にまとめられたフェルメール家の財産目録に、この豪華な上着を表す記述が残っているというから、妻のカタリーナ・ボルネスが持っていたのだろう。画家が没した翌年、妻は破産を申請することになるが、もともとカトリック教徒の妻の実家は裕福だったようで、結婚当時は毛皮の付いた絹の上着で着飾ることもできた。ちなみに裾広がりのシルエットは当時の流行らしい。

 「フェルメールは質感の表現が素晴らしい」と指摘するのは同展の日本側監修者、千足伸行・成城大名誉教授。「裕福な女性がまとうサテンの上着と、『牛乳を注ぐ女』でメイドが着ている丈夫な木綿の服。一目で、手触りの違いがわかります」。また、調和のとれた明瞭な色遣いも画家の真骨頂。フェルメール・ブルーと呼ばれる青と並び、鮮やかな黄色も欠かせない。

 身繕いのひとときを描いた「真珠の首飾りの女」。若い女性が鏡を見つめ、両手で首飾りのリボンを結ぼうとしている。

 真珠は純潔、鏡は虚栄の寓意とされる。でもそんな意味を超えて、女性の何とも幸せそうな表情がいい。大粒の真珠のネックレスは恋人からの贈り物だろうか。窓から差し込む光が、彼女を祝福している。(黒沢綾子)

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ