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【夕焼けエッセー】皿洗い

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 第一線の仕事を退いてから私が担当する定例の家事は皿洗いとゴミ出しである。これしきでは決して十分と思っていないが、現役時代に妻任せにしていた罪滅ぼしにと思って私にできる家事をこれまで心がけてきた。

 このうち皿洗いは毎日で朝昼晩、皿だけではないが使ったものをその都度洗剤をつけて洗う。私は毎晩ビールを飲みながら食事をするので、特に晩の洗い物は多くなる。

 フライパンやら鍋、おかずの皿、お椀(わん)、茶碗(ちゃわん)、コップ、おはし、スプーンなどで手間もかかるが、どういうわけかあまり苦にならない。無事においしく飲み食いさせてもらったという感謝の気持ちや明日からまた使わせていただけるという期待、流し台がやっと片付いた安堵(あんど)感などがないまぜになって奇麗になった洗い物を見るのはむしろ清々(すがすが)しい。

 また、皿洗いをしていると心にたまったゴミまでが流れてゆくようで以前「むしゃくしゃも流してくれる皿洗い」という川柳を詠んだこともある。

 妻はときどき私が洗った後をチェックしているらしく、「この間見たら洗剤がくっついて残っていたから水洗いをちゃんとするように」とアドバイスを受けたこともあるが、これも夫婦の会話のきっかけになると思って素直に聞いて実行している。

 ともかく皿洗いは結構いろんな功徳があるだけに「たかが皿洗い、されど皿洗い」だと思っている。

藤井則彦(83) 大阪府豊中市

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