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【本ナビ+1】命をめぐる奇跡のドラマ『小説 透明なゆりかご(上・下)』 シンガー・ソングライター 丸山圭子

シンガー・ソングライターの丸山圭子さん=東京都世田谷区(萩原悠久人撮影)
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 ■橘もも著、沖田×華原作、安達奈緒子脚本

 「透明なゆりかご」は、産婦人科医院を舞台に出産をめぐるドラマが描かれ、命の尊厳について感じさせられる小説。コミックスが原作で、先頃、NHKでドラマ化され、話題にもなった。

 看護師見習の女子高校生、アオイは、アルバイト先の由比産婦人科医院でさまざまな出産を目の当たりにし、感動したり悩んだりしながら命とは何か、看護師の仕事とは…と考えていく。

 女性にとって、出産は人生の大きな喜びであり、母親になることは尊い経験だ。出産に立ち会ったアオイも「こんなにも祝福に満ちた瞬間を私はほかに知らない」と感激をもらす。一方、出産を望まれず、形のないまま密(ひそ)かに葬られる命のカケラに、アオイはやさしく話しかけ、見送る。

 待ち望んだ出産の後、命を落とす母親、持病のため自分の命と引き換えに産むことを決意する女性、人知れず産み落とし、病院の前に置き去りにする女子高校生もいる。

 母になるとはどういうことか、アオイは考え続ける。

 アオイも幼いころから学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)を抱え、ことあるごとに母から厳しい言葉を浴びせられてきた。母は自分を愛していないと悩み、過去のある出来事による心の痛みにも苦しんできた。

 だが、苦しんできたのは母親も同じだった。アオイは看護師見習経験と、母の本当の想(おも)いを知り、明るく前向きになっていく。

 母と子、それぞれ相手に対する思い、愛情と命のありようが浮かびあがる。

 私自身、出産は他のどんな経験より、強烈に記憶に刻まれている。母の体から、母子ともに無事のまま命が生まれいづることは、それだけで何ものをも超える奇跡なのだ。(講談社文庫・上640円、下660円+税)

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