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フェルメール展(2) 手紙 画中の絵が語る「未来」

ハブリエル・メツー「手紙を読む女」1664~66年頃 アイルランド・ナショナル・ギャラリー Presented, Sir Alfred and Lady Beit, 1987 (Beit Collection) Photo (c)National Gallery of Ireland, Dublin NGI.4537
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 オランダ文化の殿堂、アムステルダム国立美術館の膨大な収蔵品の中には、長崎・出島の精巧な模型をはじめ、江戸時代の対日交易を物語る品々もある。17世紀の大航海時代末期、オランダ商人らは東インド会社などを拠点に世界中を巡り、巨万の富を同国にもたらした。

 長旅に出る男たちが多かったからだろう。手紙を読み書きする女性は「愛」にまつわる画題として需要が高く、ヨハネス・フェルメール(1632~75年)も6点描いている。運河が発達したオランダでは比較的早く郵便制度が整い、また識字率も高かったことから、盛んに手紙がやりとりされたという。

 描かれた女性らの胸中にあるのは喜び、不安、それとも失望か。海難事故や病などで落命するケースも少なくない時代。手紙が示すのは吉報か、それとも-。「物語」を読み解くカギの一つが、画中に描かれた絵画だ。「例えば海景画の場合、海が穏やかなら恋愛は順調、荒れていたら波乱を表します」と17世紀オランダ絵画に詳しい同館学芸員、ピーテル・ルーロフス氏は説明する。

 アイルランド・ナショナル・ギャラリー所蔵の名画で、フェルメールと同時代の画家、ハブリエル・メツー(1629~67年)の「手紙を読む女」を見てみよう。メイドが保護カーテンを開けて絵を眺めているが、画中の海はあいにく荒れており、手紙を読む女主人の前途は多難のようだ。

 一方、同ギャラリー所蔵のフェルメール「手紙を書く婦人と召使い」。懸命に手紙を書く女性の脇で、召し使いが窓の外に目をやりつつ待っている。一見穏やかな光景だが、床に落ちているしわくちゃの便箋と封蝋(ふうろう)が、女性の心の激しい動きを物語る。

 壁に掛けられた大きな絵に注目を。旧約聖書の一場面を描いた「モーセの発見」で、敵対する者たちの和解を示唆するという。女性は手紙の相手と仲直りできるのだろうか。

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