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【アート 美】伊東豊雄さん 震災を機に近代建築に疑問 人と自然の交流空間めざして

「均質化が一番建築をつまらなくしていく」と語る伊東さん=東京都渋谷区の設計事務所(萩原悠久人撮影)
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 第22回高松宮殿下記念世界文化賞の受賞者で日本を代表する世界的な建築家の伊東豊雄さん(77)。ヨーロッパやアジアなど世界で多くの建築を手掛けて、日本の現代建築の発展への貢献が評価され、文化功労者に選ばれた。受賞を機に建築観を聞いた。(渋沢和彦)

                   

 近年の活動の大きなテーマは建築におけるコミュニケーションだ。それを象徴するのが平成23年の東日本大震災後に建てた「みんなの家」だった。

 伊東さんは仙台で図書館や映像ライブラリーなどからなる「せんだいメディアテーク」(13年開館)を手掛けたことで東北には何度も訪れていた。東日本大震災後にはすぐに被災地に足を運んだ。「隣人同士が離ればなれになり、コミュニティーが失われていた。お世話になった地ですからなんとかしたかった」

 震災から約7カ月後、仙台市宮城野区の仮設住宅に憩いの場となる「みんなの家」が完成。木造平屋で多くの人が集える仕切りのない20畳の部屋がある。奇をてらったものではなく人が家の中に入りたくなる素朴な建物だった。2年前からは地震で被災した熊本でも同様の活動を続ける。

 湾曲した空間を持つ「中野本町の家」を発表して30代から頭角を現し、40代で手掛けた自邸「シルバーハット」は、屋根の一部に開閉できるテントを用いて、自然を自在に取り込む軽やかな住宅設計で高い評価を得た。

 「経済を重視した近代建築は人の感受性に訴えてこない。高層化すればするほどコミュニティーは失われて孤独になっていく」。自然と隔絶された20世紀の機能的で均質な空間が理想とされる建築への疑問は、東日本大震災後にさらに高まっていった。

 17年、国際設計コンペで勝ち取った台湾の「台中国家歌劇院」は、曲面の壁面が連続する柔らかで有機的な生命感のある空間を実現。箱型の均質空間を壊し、モダニズム建築を超えた建築を提案してみせた。

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