PR

ライフ ライフ

【書評】『すぐ死ぬんだから』内館牧子著 「やってやる!」と元気出る

『すぐ死ぬんだから』内館牧子著
Messenger

 「子供たちの世話にはならない」と頑として1人暮らしを続けていた母が、説得に応じてようやくわが家へ引っ越してきたのが3年前のこと。以来、まあ穏やかに仲良く暮らしているが、母も81歳。どこかに不安の種がいつもある。母がいつもより寝坊したりすると「死んでるんじゃないか」と思って寝顔をのぞき込み、驚かれたりしている。

 そんなこちらの気持ちを知ってか知らずか、母は「目指すはピンピンコロリよ」「延命治療とかいりませんからね」「歳とったからってくすんで貧乏くさいのはイヤ」などと言いつのっている。まあ元気なのはありがたいことであるが、この生活はいつまで続くことやらと思っているときに、本書に出合った。

 主人公の「忍(おし)ハナ」は母と同じ年頃、のっけからその日常がとてもリアルで「ああ、こんな会話、あるある!」と引き寄せられた。何しろハナの勢いが小気味いい。〈「人は中身よ」と言う女にろくな者はいない。さほどの中身もない女が、これを免罪符にしている〉〈誰もが年をとる。だが、誰もが虫になるわけではない。自分に手をかけない不精者だけが、虫になる〉

 ハナはこう言って、常にきちんと身なりを「装う」。外見を「磨く」。調子のいい娘や、ちょっと頼りない息子、まるで気に入らない嫁、しっかり者の孫娘など、若いもんに囲まれながら、あくまでも「痛い若作り」ではない、凜(りん)とした生き方を求めて今日も服を選ぶ。そんなハナは夫の死をきっかけに、ある思いもよらない出来事に見舞われ心が折れそうになるが、新たにまた服を選びながら立ち直っていく。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ