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【理研が語る/科学の中身】テーマ追求の旅、その先に 

有限要素法は、複雑な対象を小さな要素の集まりに分割してコンピューターで計算する技術。現在では機械部品の強度計算など幅広い分野で応用されている
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 子供の頃、将来何になりたいか聞かれるのが苦手だった。多くの選択肢のそれぞれの先に良いことがあると思ってしまい、どれも捨てられない優柔不断な性格のためである。

 大学進学後もテーマが絞れず、自動的に進んだ専門学科でも決定打はなかった。卒業時はさらに困った。何しろ自分が何をしたいか、まだはっきりしないのに就職先を決めなくてはいけなかったからだ。結局、大学作成の就職希望者向けパンフレットから名前の格好いい企業を選んだ。入社後は海底石油掘削用リグの機関設計を担当した。ずっとやっていくつもりではあったが、漠然とした「受け身感」は消えなかった。

 ところが、社会人3年を過ぎてついに面白いテーマに出合ってしまった。それは有限要素法という計算手法で、コンピューターを応用して複雑な構造物の強度計算などを可能にする当時の最新技術だった。力学や数学の手法を駆使してモデル化・プログラム化して計算するのだが、これが面白い。帰宅後自習を続けた。

 問題は、それが会社で担当する仕事と全く関係なかったことで、昼間の時間が色あせて仕方がない。周囲の反対をよそに小さなソフトウエア企業に転職して、プログラム開発・モデル化・汎用コンピューターでの解析計算を今度は仕事として続けた。興味の対象はさらに根本的なテーマに向かい、それは必然的にコンピューターだった。計算はどう実現されるのか。そもそもコンピューターとは何? これを知るにはコンピューター製造会社に行くのが一番と、今度は米国のスーパーコンピューター専業メーカーに転職した。

 スーパーコンピューターの性能は衝撃的で、その構造を一から学び直し、システムの特性評価・性能向上のための改良などを長く担当した。そして理化学研究所に入って、ポスト「京」(日本の次世代スーパーコンピューター)の開発に携わることになった。

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