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【話の肖像画】指揮者、リッカルド・ムーティ(77)(1)心奪われた国、日本

(桐原正道撮影)
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 〈楽曲への深い理解に根ざした躍動感あふれる指揮で知られ、第30回高松宮殿下記念世界文化賞(音楽部門)の受賞が決まっている。23日の授賞式に出席するために来日する予定だ〉

 受賞は思いもよらないことでした。謙遜ではありません。過去の名だたる受賞者のことも聞いていますし、この賞が芸術に献身的に身を捧(ささ)げ、誠意を尽くしてきた者に贈られるものだと理解しているからです。

 〈日本との関係は深く、オーストリアのウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、米フィラデルフィア管弦楽団などと幾度も来日。毎春開催される「東京・春・音楽祭」にたびたび参加し、2016(平成28)年にはイタリアと日本の文化交流への貢献が評価され、旭日重光章を受章した〉

 1975(昭和50)年、私はウィーン・フィルとともに初めて来日し、すぐに日本に心を奪われました。

 もしも何らかの理由でヨーロッパを去ることになったら、日本に住みたいですね。美しい国だし、食べ物はおいしいし、人々は強い意思を持ちながらも親切で丁寧だ。

 観客としても素晴らしい。芸術に深い愛情を持ち、純粋に音楽を楽しむために演奏会に来ているし、拍手や感動の表現も礼儀正しい。驚くことに、オペラの場合など、歌手のできばえによって拍手の強さが違う。ヨーロッパの観客は、演奏者がお気に入りならば演奏が不出来でも大きな拍手をしてしまいます。

 日本人の観客は他国では考えられないほど静粛に聞いていますが、演奏中に私は観客との一体感を覚えることがよくあります。これは最高に素晴らしい体験です。

 〈「東京・春・音楽祭」では、日本の若手音楽家らで編成される「東京春祭特別オーケストラ」で読売日本交響楽団コンサートマスターの長原幸太さんやNHK交響楽団のバイオリン奏者、横溝耕一さんらを指揮。2016年には日伊国交樹立150周年記念オーケストラや東京少年少女合唱隊などとも共演している〉

 日本の音楽家は芸術への礼儀正しさを持っており、一緒に仕事をすることは大いなる喜びです。これは合唱団にもいえることで、特に児童合唱団の技術の高さや礼儀には目を見張るものがあります。

 そのような日本の賞である世界文化賞をいただき、受賞のために訪れることを幸せに感じます。ほかの受賞者の方々とお会いすることも、私にとって素晴らしい経験になるでしょう。(聞き手 竹中文)

                   ◇

【プロフィル】リッカルド・ムーティ

 1941年、イタリア・ナポリ生まれ。67年、イタリアのグィード・カンテッリ国際指揮者コンクールで優勝して脚光を浴びる。その後は米フィラデルフィア管弦楽団やミラノの歌劇場「スカラ座」など、各地の音楽監督を歴任。イタリアの歌劇王、ヴェルディの作品に対する深い楽曲理解には定評がある。2016年、旭日重光章受章。

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