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【明治の50冊】(32)与謝野晶子『みだれ髪』 強い自己肯定が生きる力に

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 『みだれ髪』の評判で「明星」の購読者、同人数は一気に増えた。晶子はその後、鉄幹の元に集う有能な人々から最先端の情報を得て、評論活動など執筆の幅を広げていく。

 後年、晶子は『みだれ髪』の歌を嫌い、自選の『与謝野晶子歌集』(昭和13年刊、岩波文庫)には、わずか14首しか入れなかった。「嘘の時代の作を今日も人からとやかくと云はれがちなのは迷惑至極である」とあとがきに記している。

 「鉄幹の導くままに詠んだ無我夢中の時代の恥ずかしさに加え、日中戦争当時の時局に、恋がメーンの歌をはばかったのかもしれない」(松平さん)

 新潮文庫版『みだれ髪』は、平成12年の刊行以来、4刷8万7千部を数える。角川文庫は昨年、新たに現代語訳を付けて絶版だった『みだれ髪』を復刊した。

 松平さんは「今は若い人が悟ってしまって、生きる喜びを持てない空気がある。晶子は苦しみながらも、最後は強く自己肯定する。その強さを『みだれ髪』からくみ取ってもらえれば、明日を生きる力となるのでは」と話している。(永井優子)

                   

 次回は22日『病牀六尺』(正岡子規)です。

                   

【プロフィル】与謝野晶子

 よさの・あきこ 明治11(1878)年、堺市生まれ。10代から始めた短歌が「明星」に載り、与謝野鉄幹と出会って結婚。処女歌集『みだれ髪』が反響を呼び、情熱の歌人として著名になる。五男六女を育てながら、小説、随筆、評論、童話、戯曲など多岐にわたり活躍。出征中の弟に寄せた詩「君死にたまふこと勿(なか)れ」、初の「源氏物語」現代語訳でも知られる。昭和17年、63歳で死去。

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