PR

ライフ ライフ

【アート 美】世界文化賞 演劇・映像部門カトリーヌ・ドヌーヴ 好奇心旺盛、根っからの映画職人

カトリーヌ・ドヌーヴの主な出演映画作品
Messenger

 背筋の通った立ち姿は、黒いセーターの普段着でも光を放つよう。セーヌ左岸、パリ・サンジェルマンの小ホテル。第30回高松宮殿下記念世界文化賞(演劇・映像部門)の受賞が決まったカトリーヌ・ドヌーヴがインタビュー会場に現れると、周囲は一瞬にして華やいだ。

 女優歴は半世紀を超える。ジャック・ドゥミ監督のミュージカル映画「シェルブールの雨傘」(1964年)で世界的スターとなり、映画界の第一線を走ってきた。現在、74歳。出演作は100本以上だ。

 「仕事を始めたのは偶然で、高校生の時でした。当時、自分に天職があるなんて思っていませんでした」とほほえむ。

 両親とも俳優という芸能一家の出身。姉が出演した青春映画で、妹役を演じたのが始まりだった。映画の魅力にとりつかれたのは、ドゥミ監督と出会ってからだ。「彼と出会っていなかったら、女優を続けていたかどうか分かりません。私の人生を決める出会いでした」

 輝くブロンド、吸い込まれるような瞳-フランスでは常に、「エレガンスを体現する女性」の筆頭にあげられる。それでも単なる美人女優に終わらなかったのは、常に新しい役柄に挑んできたからだ。

 ドゥミ監督の「ロシュフォールの恋人たち」(67年)でおしゃれなヒロインを演じ、同じ年にルイス・ブニュエル監督の「昼顔」に出演。マゾ妄想におぼれ、娼婦(しょうふ)となる医師の妻役だ。縄で縛られ、泥にまみれる体当たりの演技で、アイドル女優を脱皮した。

 英歌手デビッド・ボウイと共演した「ハンガー」(84年)では女吸血鬼、「しあわせの雨傘」(2011年)では世間知らずのブルジョアの妻に扮(ふん)した。どんな役を演じても、凜々(りり)しさが漂う。数々の名監督から出演依頼を受けたゆえんだろう。

 フランソワ・トリュフォー監督の「終電車」(1982年)で、ナチス占領下でユダヤ人の夫をかくまう劇場主を演じ、仏の権威あるセザール賞主演女優賞を初受賞。「ヴァンドーム広場」(99年)でベネチア国際映画祭の女優賞を獲得し、仏映画を代表する女優の座を不動にした。

 出演作を決めるとき、最も重視するのは脚本。面白ければ、監督が無名の新人でも積極的に出演する。

 「私が選ぶのは、役より映画そのもの。時にはみんなのイメージとかけ離れた役を演じます。私はまず、自分自身を驚かせたい。好奇心が旺盛なのよ」。根っからの映画職人なのだ。

 私生活では「恋多き女」で知られた。2人の子供を育てたシングルマザーでもある。年齢を重ねることは、女優としてよい面と悪い面があると言う。「悪い面は、時の変化を受け入れねばならないことでしょうか。見た目が大事な仕事ですからね。でも、俳優は年齢や出会い、そして役柄とともに進化します。経験で得るものは大きいのです」

 昨年公開された「ルージュの手紙」では、老いと孤独に向き合いながら、人生を謳歌(おうか)する母親役で、円熟の演技を見せた。引退を考えたことがあるかと尋ねると、「演じることが面白くなくなれば、辞めることを考えるでしょう。まだ、その時は来ていません」という言葉が返ってきた。

 まだまだ、挑戦は続く。(パリ 三井美奈)

                   

【プロフィル】Catherine Deneuve 1943年、パリ生まれ。代表作は「シェルブールの雨傘」「昼顔」「8人の女たち」など。「終電車」「インドシナ」でセザール賞主演女優賞、「ヴァンドーム広場」でベネチア国際映画祭女優賞を獲得した。是枝裕和監督で、来年公開予定の日仏合作映画に出演が決定。社会的発言も活発で、今年初め、セクハラ告発運動「#Me Too」を批判する寄稿に参加し、世界的な注目を浴びた。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ