PR

ライフ ライフ

【みうらじゅんの収集癖と発表癖】ガビッてる!! いざ中国へ、峨眉山が呼んでいる

峨眉山
Messenger

 「ガビッてる!!」

 と、思わず叫んだのは奇岩連なるその山が中国・四川省にある普賢菩薩の霊山、峨眉山(がびさん)に似ていたからだ。

 いや、実際には峨眉山へ行ったこともないわけで、その山が「ガビッてる!!」と決定するのは大変、横着ではあるけれど、僕と仏友(ぶつゆう)の作家、いとうせいこう氏は大分県北東部、日本で初めて神仏習合したという地、国東(くにさき)半島の山を見て“似ているからこそここに六郷満山(ろくごうまんざん)文化が花開いたのだ”と、勝手に確信。「ガビッてる」という新語まで生み出したのである。

 かねてより寺院に“山号(さんごう)”なるものが付いていることは気になっていた。

 日本の山岳信仰と仏教が結び付いたといえばそれまでなのだが、その山号に中国・四大霊山(五台山(ごだいさん)・峨眉山・九華山(きゅうかさん)・普陀山(ふださん))の存在は大きかったに違いない。

 そもそも大陸からやって来た中国の僧侶が日本各地を視察し、「ここ、ガビッてる!!」という山を霊山とし、寺院を建立したのが始まりではないかとすら思った。

 もう10年以上前になるが、中国・山西省の五台山へいとう氏と行ったことがある。そこは文殊菩薩の霊山であり、ツボミのように閉じた蓮華座(れんげざ)を回転させると中から極彩色の巨大文殊が姿を現すといったイリュージョンさながらの御開扉(ごかいひ)を見て驚いたものだ。

 車で何時間もかけて登頂した五台山はなだらかであり、決して「ガビッて」はいなかったように記憶する。だから、その時は「ゴダイッてる」などという少し語呂の悪い新語は生まれなかったのだ。

 要するにわれわれは自らが放った「ガビッてる!!」という言葉の響きに先(ま)ず、グッときたのである。

 それ以来、国東半島でなくても山を見つけると「ねぇ、あの山、ちょっとガビッてない?」と、指摘し合うようになった。

 「きっと寺があるね。そして山頂には黄金仏がいるね」などと何の根拠もない話題で大いに盛り上がり、タクシーの運転手さんをポカンとさせることも度々(たびたび)。『中華料理 峨眉山』という店の看板をたまたま街で見つけたときも、「これは決して偶然じゃないね! ガビがわれわれを呼んでるんだよ」と、かなりのノイローゼぶり。

 僕は気が付くと今まで全く興味のなかった山の絵をせっせと描いては、“この辺りがガビッてる”などと注釈まで加える始末。

 とうとう「行きますか!」の声がどちらからともなく出て、年内に中国に渡る予定なのである。(作家、イラストレーター・みうらじゅん)

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ