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【新・仕事の周辺】高橋弘希(作家) 主観と客観、意識して

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 “新聞記者には情熱と冷静さが必要である”と何かで読んだことがある。確かに記者に情熱は不可欠だが、同時に冷静に物事を判断する目も必要である。これは主観と客観と言ってもいい。私もエッセーを書く際には、この2つを意識して執筆する。1日目に情熱、2日に休眠、3日目に冷静、という流れだ。

 2日目の休眠は、作品と距離を取るために設ける。“見つめすぎる鍋は煮えない”というヨーロッパの諺(ことわざ)があるが、確かに自身の文章を見つめ過ぎていると、細部にばかり気を取られ、逆に全体が見えなくなる。“木を見て森を見ず”では本末転倒だ。

 よって2日目に休眠し、3日目に冷静に手直しをし、鍋には美味(おい)しいエッセーが仕上がる、という寸法だ。本稿が美味しいかどうか、書いた本人にはよく分からぬが、少なくとも“ハードコア・パンク”ではない自負はある。個人的には“ウエスト・コースト”風に仕上がったのではないかと思っている。

 ところで仕事術を記せといわれながら、結果としてほとんど仕事をしていないことをカミングアウトすることになったが大丈夫だろうか--。今回で本当に産経新聞社から干されるのではないか、それだけが気がかりである。

                   

【プロフィル】高橋弘希(たかはし・ひろき) 昭和54年、青森県十和田市生まれ。平成26年に「指の骨」で新潮新人賞を受けて作家デビュー。29年に「日曜日の人々(サンデー・ピープル)」で野間文芸新人賞、今年7月に「送り火」で第159回芥川賞を受賞。

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