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【新・仕事の周辺】高橋弘希(作家) 主観と客観、意識して

高橋弘希さん(本人提供)
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 芥川賞受賞時にも本紙にはエッセーを記した、が、当時の私は受賞直後で、人としておかしなテンションになっており、ビジネスマン御用達の本紙に、“ハードコア・パンク”な随筆を寄稿してしまい、もはや産経新聞社からは完全に干されたものと思っていた。

 ところがこの度、なんと2度目の寄稿依頼を貰(もら)った。先生の仕事術について1200字程度で記せという。

 しかし殆(ほとん)ど無職に近い生活を送っている私に、仕事術と訊(き)かれても困る。あまつさえ“先生”などと呼ばれると、完全に天狗(てんぐ)になってしまう。そこで己を自制しつつ、仕事術=近況報告、と判断し、本稿を記す。

 芥川賞を受賞すると仕事依頼が殺到して多忙な毎日を送る、とお茶の間の皆さんは勝手に思っているが、それは誤解である。少なくとも私は、ぜんぜん多忙ではなかった。8月はあまりにも暇で、ついには1人で市民プールへ行く有様(ありさま)であった。

 8月は夏休みであり、平日の日中に市民プールへ行くと、小学校低学年の男児と女児しかいない。そんな中で、純文学の作家が、水着一枚の半裸の状態で、夏の陽差(ひざ)しを浴びながら、流れるプールを漂っていると、気分的には廃人である。俳人ならばよかったが、廃人である。

 そんな廃人にも、9月中旬、仕事の依頼がきた。TBSテレビのバラエティー番組「ゴロウ・デラックス」への出演である。廃人を公共の電波で流していいのかという危惧はあったが、その辺はMCである稲垣吾郎氏と外山恵理氏が、うまくオブラートに包んでくれた。包まれた私は心地が良かった。私はプロの現場というものを垣間見たのだった。

 そしてこの番組収録後、都合良く本稿の執筆依頼がきた。随筆は、いつも3日に分けて執筆している。これには理由がある。

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