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【近ごろ都に流行るもの】「まち工場跡」 残す下町の原風景

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 「マンションやコンビニにしませんかという資産活用の勧誘は今もある。けれど、働き者だった父の思いが詰まった場所を残したかったんです」。50代主婦、未経験での挑戦。チラシ配りから始めたが、実家の工場は図らずも音響に優れ、独特の雰囲気が人気を呼んで、写真や絵画の展示、落語、音楽、ダンス公演など多彩に活用されている。

 空間全体を作品に仕立てる「インスタレーション」の個展を取材時に開いていた港区在住の美術家・唯(ゆい)玲(れい)さんは、「ミニ体育館ほどの広さがあり、色々な仕掛けができる。人の面影や過去の記憶が立ち上るような空気とにおい、外と地続きの床など、工場ならではの魅力を感じます」。

 昨年のノーベル賞授賞式典でも演奏したノルウェー出身の世界的パーカッショニスト、テリエ・イースングセットさんも演奏に訪れ、水口さんの母校でもある区立糀谷小学校の児童などと交流したり、高齢者施設の入所者が車椅子で訪れるなど、今や地域交流の新名所だ。

 「父が残してくれたまち工場跡を、いいなと思ってくれる人が使ってくれて、思い出を持ち帰ってくれることがうれしい」と水口さん。

 11月24、25日には、東京工科大・酒百(さかお)宏一教授のワークショップ「オオタノカケラ」を開催。かつて工場で使われていた道具を「大田のタカラ」とし、新たな作品を生み出す5年来の取り組みである。

 まち工場跡は、はかない“夢の跡”にあらず。夢や未来を作り続けていた。

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