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【本ナビ+1】ゾクゾクするような知の冒険 『美貌のひと』中野京子著 クリエイティブディレクター・佐藤可士和

「美貌のひと」
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 「怖い絵」シリーズをはじめ、名画を西洋史や芸術に関する広い知見から、興味深く解説されるドイツ文学者、中野京子さんの新作。絵画に描かれ、広く知られることとなった、古典から現代までの美貌の男女24人の知られざるエピソードが堪能できる本書だが、「美が招くのは幸運か破滅か」と帯にあるように、どのストーリーもとてもドラマチックだ。

 カバーを飾るロシアの画家イワン・クラムスコイの名画「忘れえぬ女(ひと)」は、ちょうど昨年モスクワを訪れた際にトレチャコフ美術館で観(み)て、その印象的な眼差(まなざ)しが記憶に残っていた絵だ。発表当時、多くの人がこの車上の女性はトルストイの名作の主人公、アンナ・カレーニナだと信じたという。というのも、クラムスコイはこの文豪の肖像画を描いており、この絵も「アンナ・カレーニナ」刊行の6年後に発表されたためらしい。

 またヨーゼフ・カール・シュティーラーの「ゾフィ大公妃」は、ミュージカル「エリザベート」で、皇妃エリザベートを虐(いじ)める厳しく怖い姑(しゅうとめ)のイメージが定着しているあのゾフィだというので、若々しく知的で美しいその肖像画には少し驚いた。ナポレオンの登場と失脚を経て、革命の嵐が吹き荒れた19世紀、オーストリア帝国を治めるハプスブルク家の再建に身を捧(ささ)げ、若くして皇帝に即位した長男、フランツ・ヨーゼフ1世を支えたゾフィの奮闘を知ると、あの悪役イメージはちょっとかわいそうすぎるのではないかとも感じた。

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