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【本郷和人の日本史ナナメ読み】水戸学と「尊皇」(上)黄門さま「南朝正統論」の真意は

藤田東湖肖像(模本、東大史料編纂所蔵)
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 あるテレビ番組から、「すごいと思われる徳川家の人々」を7人挙げろ、というアンケートをいただきました。それに基づいて番組を作るというのですが、その後の話を聞かないので、どうなったのかな。少し前のことだから、無事に番組ができて放映されたのか、それともボツになったのか。ぼくはよく知らないのですが、さてこの質問、あなたなら誰を挙げますか?

 まあ、普通にやれば「第1位 徳川家康」は堅いのですけれど、それじゃあ、テレビ番組としてはおもしろくありませんね。とくにぼくは、とりあえず歴史研究者ですから、「おお、そうきたか」という人物を挙げなくてはならないでしょう。とまあ、テレビ局の意向を忖度(そんたく)して神君・家康公は1位にはしませんでした。でも、この人は仕方がない。

 第1位 徳川光圀(みつくに)!

 初代の水戸藩主は徳川家康の末子である頼房。その子として2代目の水戸藩主になった人です。歴史を学問として本格的に研究した初めての人物、というと言いすぎですが(中世にも『愚管抄』の慈円や『神皇正統記』の北畠親房らがいるので)、彼が始めた『大日本史』の編纂(へんさん)は、水戸藩の事業として二百数十年継続し、明治時代に完成しました。神武天皇から後小松天皇まで(厳密には南北朝が統一された1392年まで)100代の帝王の歴史を記します。全397巻。私たち東大史料編纂所は『大日本史料』という史料集の編纂事業を根幹の業務としていますが、その大先輩にあたるのがこの『大日本史』ですので、史料編纂所の禄(ろく)を食(は)んでいる私といたしましては、第1位はやはり黄門さまか、と。

 黄門さまというとお供の助さんと格さんを従えた全国漫遊なのですが、史実としては全国どころか、鎌倉くらいしか行ってません。あとは国元の水戸と江戸の行ったり来たり。助さんのモデルは佐々宗淳(むねきよ)(通称は介三郎(すけさぶろう))、格さんのモデルは安積澹泊(たんぱく)(通称は覚兵衛)、ともに水戸藩士で学者です。安積はいま「あさか」と読んでいますが、漫遊の格さんは「渥美格之進」ですよね。だから、「あづみ」と読んだのかもしれません。

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