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【聞きたい。】木村泰司さん『人騒がせな名画たち』 理性で読む絵画鑑賞を

西洋美術史家、木村泰司さん
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 宗教のタブーを破るヌード画から、小説よりも奇なモデル少女の壮絶人生まで、名画の背景にある「人騒がせ」な要素を解き明かした一冊。「フェルメール展」が上野の森美術館(東京・上野公園)で開幕する10月5日、満を持して発売される。

 同展に出品される17世紀オランダの画家、フェルメールの「牛乳を注ぐ女」も紹介。この作品にも表面上わからない“事情”がひそむ。「一見、家事にいそしむまじめなメイドをたたえているようですが、この絵が本当に称賛しているのは、メイドの雇い主である女主人なのです」

 オランダ風俗画は単に日常生活の一端を描いたものではない。大酒を飲んで騒いだり、男女の色恋をほのめかしても、プロテスタント中心の社会だけに、欲望を戒める教訓などが込められている。「17世紀後半になると、女性の美徳にスポットを当てた風俗画が増えたのです。お手伝いさんの監督は女主人の重要な役目でした」。働き者のメイドの背景には、描かれていない女主人の存在がある。

 「展覧会ではフェルメールだけでなく、オランダ風俗画の面白さ、広がりも楽しんでほしい」と話す。

 西洋美術史家として「美術は見るものではなく読むもの」と説いてきた。そもそも西洋絵画は宗教教義や歴史、倫理観や思想などを伝える手段として、感性よりも理性に訴えることを重視してきたからだ。美術を真に楽しむには、土台となる知識が必要。知識に基づく「絵の読み方」を、一般読者やビジネスマン向けに説く著書で定評がある。

 この本でもボッティチェリ「ヴィーナスの誕生」やブリューゲル(父)の「農民の踊り」、ゴッホ「カラスのいる麦畑」など、有名作品も多数登場。「知れば、絵画展がこれまでの何倍も面白くなりますよ」(マガジンハウス・1500円+税)

 黒沢綾子

                   

【プロフィル】木村泰司 昭和41年、愛知県生まれ。米カリフォルニア大バークレー校で美術史学士号を取得後、ロンドンのサザビーズ美術教養講座で学ぶ。主な著書に『名画の言い分』『世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」』など。

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