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本谷有希子さん SNS社会の焦燥を描く 芥川賞後初の作品集「静かに、ねぇ、静かに」 

育児と執筆で多忙な毎日。「どうしたら時間ができるか、いろいろ考えます。スマホを書斎に持ち込むのはやめよう、とか」と笑う本谷有希子さん(寺河内美奈撮影)
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 情報化社会の富を満喫する私たち現代人の、内なる悲鳴が聞こえてくる。本谷有希子さん(39)が芥川賞受賞後初の作品集『静かに、ねぇ、静かに』(講談社)で描くのは、写真共有サイト「インスタグラム」を始めとするSNS(会員制交流サイト)に翻弄される人々。コミカルで皮肉が効いていて薄ら寒さも残る3編が並ぶ。(海老沢類)

                  ◇

 「私、SNSには疎いほうで…」と本谷さん。ところが昨年、友人との海外旅行で写真や動画を共有する楽しさを知った。

 「実際に景色を見る時間より、そこで撮った写真をスマホで見る時間のほうが長くて、しかも楽しかった(笑)。これって何かがねじ曲がっているし面白い。その違和感が書く動力になったんです」

 同調圧力

 収録作「本当の旅」に出てくるのは、マレーシア旅行に来た40歳前後の仲良し男女3人組。観光名所の洞窟やモスクを訪れ、屋台村で食事をしても満たされない。でも撮った写真を共有すると、ひとごとのように「楽しそう」と言ってホテルのベッドで見入る。無料通話アプリで常に陽気な会話を交わし、ポジティブ思考を忘れない。〈自由で心地いいヴァイブレーション〉でつながる3人の、どこか浮遊感のある旅が軽快なタッチで紡がれる。

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